読み込み中…
最終確認:2026年10月3日
農薬登録情報:独立行政法人農林水産消費安全技術センター
技術情報:日産化学株式会社技術資料ほか
ジマンダイセンフロアブルは、マンゼブを有効成分とする、病原菌の複数の作用点に働くFRACコードM03のジチオカーバメート系殺菌剤です。60年以上使われてきた成分で耐性菌が出にくく、ぶどうのべと病・黒とう病・晩腐病、きゅうり・メロンのべと病、トマトの疫病・葉かび病などを予防します。
作物の表面に付いた成分が少しずつ分解され、殺菌力のある物質に変わって、病原菌がエネルギーをつくる工程の複数か所をまとめて止めます。病原菌が植物に入り込む前に防ぐ、予防型の殺菌剤です。
60年以上使われてきた定番成分マンゼブの保護殺菌剤
有効成分のマンゼブは、1964年発売のジマンダイセン水和剤から60年以上、園芸の現場で使われてきた殺菌成分です。本剤はそのマンゼブをフロアブル(液体)にしたもので、メーカーは果面の汚れを大幅に減らせ、展着剤を加えるとさらに汚れを減らせるとしています。
作用点が6つ、耐性菌が出にくく他剤耐性菌にも効く
病原菌がエネルギーをつくる工程の6か所に作用するため、菌が薬に慣れて効かなくなる耐性菌が発達しにくい殺菌剤です。他の系統の剤が効かなくなったトマト葉かび病菌やきゅうり褐斑病菌に対しても、マンゼブ剤は高い効果を示しています。
ぶどう・きゅうり・メロン・トマトの主要病害を予防、ぶどうは3病害を同時に
ぶどうのべと病・黒とう病・晩腐病、きゅうりのべと病・褐斑病、メロンのべと病、トマトの疫病・葉かび病、きくの白さび病に使えます。ぶどうでは、感染しやすい展葉期から幼果期にかけて散布することで、べと病・黒とう病・晩腐病をまとめて予防できます。
| 作物 | 適用病害虫雑草 | 希釈倍数・使用量 | 使用時期 | 使用回数 | 使用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| きく | 白さび病 | 500~800倍散布液量 150~300L/10a | - | 8回以内 | 散布 |
| きゅうり | べと病 | 500~800倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| きゅうり | 褐斑病 | 500~800倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| トマト | 疫病 | 800~1000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| トマト | 葉かび病 | 800倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| ぶどう | べと病 | 800~1000倍散布液量 200~700L/10a | 収穫45日前まで | 2回以内 | 散布 |
| ぶどう | 黒とう病 | 800倍散布液量 200~700L/10a | 収穫45日前まで | 2回以内 | 散布 |
| ぶどう | 晩腐病 | 800~1000倍散布液量 200~700L/10a | 収穫45日前まで | 2回以内 | 散布 |
| メロン | べと病 | 500~800倍散布液量 150~300L/10a | 収穫7日前まで | 5回以内 | 散布 |
FRACコード:M03(ジチオカーバメート系、多作用点接触活性)
日産化学の技術資料(ジマンダイセン水和剤、2025年)によれば、マンゼブは作物上に付着した後、EBDCを放出し、光や水分によって殺菌活性のあるEBIS、EBIに徐々に分解されます。これらが病原菌の複数のエネルギー生産工程を阻害して殺菌効果を発揮し、最終的に二酸化炭素などに分解されます。
同資料は、マンゼブの作用点はエネルギー生産工程の6か所にあるとしています。解糖系、脂質・タンパク質の代謝、クエン酸回路、SH酵素、酸化的リン酸化反応などに作用し、SH酵素の不活性化をはじめ複数の点で作用するため、薬剤耐性を発達させにくいと考えられています。FRACは、M03を耐性の兆候がない低リスクのグループとしています。
奈良県の成果情報は、マンゼブとTPNを「予防効果が高く、耐性菌の発生リスクが低い多作用点接触阻害剤」として防除体系の中心にするとしています。星野ら(2024)は、多作用点接触活性の剤を他系統の剤と組み合わせることで、耐性菌の発生リスクを軽減できるとしています。
マンゼブの試験名は「Dithane M-45」で、ジマンダイセン水和剤は1964年に発売されました。本剤(フロアブル)は1996年11月15日に登録されています。メーカーは本剤を「時代をこえて愛され続ける園芸用保護殺菌剤」としています。
マンゼブ20.0%のフロアブル(暗黄色水和性粘稠懸濁液体)です。有効成分の水への溶解度は6±3ppm(25℃)で、酸・アルカリで分解されます(原体)。
メーカーは、フロアブル製剤により果面の汚れを大幅に軽減でき、展着剤を加用するとさらに軽減できるとしています。和歌山県のトマト葉かび病の防除対策マニュアル(2025)も、耐性菌に有効な薬剤は薬斑がつくものが多いため、気になる場合は展着剤を加用するとし、防除効果への悪影響は見られないとしています。
きゅうり褐斑病(長野県南信農業試験場、1998年、甚発生〔接種〕、4回散布)で、本剤500倍の発病度は10.6でした(ジマンダイセン水和剤600倍は4.7、無散布は62.0)。4回散布は、現行の登録の使用回数(3回以内)を超える試験です。
いずれも試験の散布回数は登録と異なる場合があります。
群馬県(星野ら 2024)のきゅうりつる枯病の葉柄接種試験では、マンゼブ水和剤は発病を軽減する傾向はあったものの、対照区と有意差はありませんでした(きゅうりつる枯病は本剤の登録にありません)。著者は、葉柄の切断面に水分が多く、保護膜の形成が不十分だったためと考えています。
シャイン輸出拡大コンソーシアム・農研機構(2024)の防除暦作成指針は、マンゼブ剤(ジマンダイセン水和剤・ペンコゼブフロアブル1,000倍)を黒とう病・べと病・晩腐病の生育期前半の予防散布に組み入れています。果実収穫後の残留農薬分析では、袋掛け21日以上前に散布したマンゼブはすべて検出限界値未満でした。
同指針は、本剤を台湾・香港・タイ・シンガポール・マレーシアのいずれかで日本より基準値が低い剤(台湾に限れば日本以上または分析対象外)に区分しています。
本剤は普通物です。メーカーのSDSでは、製品の急性経口LD50は5,000mg/kg超、経皮は2,000mg/kg超(ラット)で、眼・皮膚の刺激性はなく、皮膚感作性も陰性です。水和剤の技術資料では、セイヨウミツバチに対して殺虫性はなく、群態・訪花活動への影響もないとされています。蚕の安全基準日数は15日です(いずれも水和剤の値)。
ぶどうは200〜700L/10a、その他の作物は150〜300L/10aを散布します。使用時期は、ぶどうは収穫45日前まで、きゅうり・トマトは収穫前日まで、メロンは収穫7日前までです。
ぶどう・トマトは2回以内、きゅうりは3回以内、メロンは5回以内、きくは8回以内です。マンゼブを含む農薬の総使用回数は本剤の使用回数と同じなので、ジマンダイセン水和剤など同じ成分の剤と合わせて数えてください。必ず最新の適用表で確認してください。
トマトの葉かび病・きくの白さび病は、発病後では効果がやや低いため、発病初期から時期を逃さず散布してください。ぶどうの晩腐病は、多雨などで多発生が予想される場合は高濃度(800倍)で使用してください。
使用の際は容器をよく振って均一な状態にしてから所定量を取り出してください。使用量に合わせて薬液を調製し、使い切ってください。
石灰硫黄合剤、ボルドー液などのアルカリ性薬剤、チオジカルブ剤との混用は避けてください。
極端な高温多湿条件下では、軟弱な幼苗に薬害が出るおそれがあるので注意してください。
散布の際は農薬用マスク、手袋、不浸透性防除衣などを着用し、保護クリームを使用してください。作業後は直ちに身体を洗い流し、うがいをし、衣服を交換してください。作業時の衣服は他のものと分けて洗濯してください。かぶれやすい体質の人は作業に従事せず、施用した作物との接触を避けてください。夏期高温時の使用は避けてください。
蚕に影響があるため、周辺の桑葉にかからないようにしてください。散布器具や容器の洗浄水は河川等に流さないでください。
換気のよい冷暗所に、食物・飼料などと離し、子供の手の届かないところに施錠して保管してください。
普通物に区分されています。
FRACコードM03(ジチオカーバメート系、多作用点接触活性)の殺菌剤で、FRACは耐性リスクの低いグループとしています。複数の系統の剤に耐性をもつトマト葉かび病菌やきゅうり褐斑病菌に対しても、マンゼブ剤の高い効果が報告されています。
単一作用点の剤を使う防除体系に、予防の柱として組み込むことで、耐性菌の発生リスクを下げることができるとされています(奈良県成果情報、星野ら 2024)。
べと病は展葉期〜大豆大の頃、晩腐病は落花後〜大豆大の頃が最も感染しやすいとされています。べと病・黒とう病は開花前〜幼果期に同時防除でき、晩腐病は6月下旬〜梅雨期に胞子の飛散が盛んになるため、予防散布が勧められています。
日高地域(和歌山県)のミニトマトでは、複数の系統の剤に耐性をもつ葉かび病菌が確認されています。和歌山県のマニュアル(2025)は、ペンコゼブフロアブルなど有効な剤を約3週間間隔で散布する体系を示しています。
予防的に使う剤なので、発病後の効果は高くありません。メーカーは、トマトの葉かび病・きくの白さび病は発病後では効果がやや低いので、発病初期から時期を逃さず散布するよう案内しています。茨城県のメロンべと病の試験でも、感染した翌日にマンゼブ水和剤を散布した場合の防除価は11でした。
きゅうり褐斑病では、10日程度が目安とされています。マンゼブ水和剤の試験では、10日間隔の散布で防除価93でしたが、14日間隔では24まで下がりました。発生が多い時期は間隔をあけすぎないようにしてください。
多雨などで多発生が予想される場合は、高濃度の800倍で使ってください。メーカーは、多発生条件下では効果が劣ることがあるとしています。使えるのは収穫45日前までで、2回以内です。
石灰硫黄合剤、ボルドー液などのアルカリ性の薬剤と、チオジカルブ剤との混用は避けてください。マンゼブは酸・アルカリで分解されやすい性質があります。
かぶれやすい体質の人は作業しないでください。散布の際は農薬用マスク・手袋・不浸透性の防除衣を着用し、保護クリームを使ってください。作業後はすぐに体を洗い、衣服を替えてください。夏の高温時の使用は避けてください。
有効成分は同じマンゼブで、本剤は液体のフロアブル、水和剤は粉末です。本剤の登録は、ぶどう・きゅうり・メロン・トマト・きくの5作物で、水和剤より対象が限られます。使う前に適用表を確認してください。
はい、注意が必要です。蚕に影響があるため、周辺の桑葉にかからないようにしてください。散布器具や容器の洗浄水は河川などに流さないでください。
他剤と混ぜるときは、1剤ずつ水に溶いてから次を加えます。乳剤と混ぜる場合は乳剤が先です。少ない水に2剤を同時に入れて練らないでください。
ご使用に際して、製品ラベルに記載された希釈倍率・使用時期・使用回数・収穫前日数を必ず遵守してください。製品ラベルの記載と本ページの記載が異なる場合や薬害や安全使用上の注意などの記載がある場合は、製品ラベルの記載に従ってください。都道府県によってご使用を控えるよう指定されている農薬があるため、お住まいの地域の指針もあわせてご確認ください。河川・水路等への流入および周辺への飛散に注意し、使用後の容器は適切に処理してください。誤って眼または皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流してください。体調に異常が生じた場合は、医師の診断を受けてください。直射日光および高温を避け、小児の手の届かない場所で保管してください。
