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最終確認:2026年10月3日
農薬登録情報:独立行政法人農林水産消費安全技術センター
技術情報:バイエルクロップサイエンス株式会社技術資料ほか
ジャストフィットフロアブルは、フルオピコリドとベンチアバリカルブイソプロピルを有効成分とする、FRACコード43+40の2成分混合殺菌剤です。べと病・疫病に予防と治療の両方で効き、感染後の散布でも病斑の拡大を止めます。浸達性・残効性・耐雨性にも優れ、野菜・ぶどう・かんきつに使えます。
フルオピコリドは病原菌の細胞を壊し、泳ぐ胞子(遊走子)をすぐに止めて破裂させます。ベンチアバリカルブイソプロピルは菌の細胞壁づくりを止めます。作用の違う2つの成分で、べと病菌・疫病菌の生活のほぼすべての段階を抑えます。
べと病・疫病の専門剤、作用の違う2成分で耐性菌リスクを抑える
べと病菌・疫病菌(卵菌類)に優れた効果を発揮する、2成分の混合剤です。フルオピコリドが菌の細胞を壊して泳ぐ胞子を止め、ベンチアバリカルブイソプロピルが細胞壁づくりを止めます。作用の違う2成分を組み合わせているため耐性菌が発達しにくく、ストロビルリン系(QoI剤)が効きにくくなったべと病菌にも効果を示します。
予防+治療効果、感染後の散布でも病斑の拡大を止める
予防効果に優れるだけでなく治療効果もあるため、感染の初期段階で散布しても病斑が広がるのを抑えます。きゅうりのべと病では、感染から1〜2日後に散布しても高い効果を示しました。はくさい・ぶどうのべと病では、発病が始まってからの散布でも、多発生の中で長く効果が続きました。
浸達性・残効性・耐雨性に優れる
葉の表から裏へ成分がしみ込む浸達性と、植物の中を移動する浸透移行性があり、薬液がかかりにくい葉裏の感染も防ぎます。散布から2週間たっても高い効果が続き、散布後に強い雨が降っても効果が落ちにくい剤です。
| 作物 | 適用病害虫雑草 | 希釈倍数・使用量 | 使用時期 | 使用回数 | 使用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| かんきつ | 褐色腐敗病 | 5000倍散布液量 200~700L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| きゅうり | べと病 | 5000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| たまねぎ | べと病 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| たまねぎ | べと病 | 24倍散布液量 1.6L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 無人航空機による散布 |
| たまねぎ | 白色疫病 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| はくさい | べと病 | 5000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| はくさい | 白さび病 | 5000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| バジル | べと病 | 5000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| ぶどう | べと病 | 5000倍散布液量 200~700L/10a | 収穫30日前まで | 3回以内 | 散布 |
| ほうれんそう | べと病 | 5000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| レタス | べと病 | 5000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| レタス | べと病 | 500倍散布液量 セル成型育苗トレイ1箱またはペーパーポット1冊(約30×60cm、使用土壌約1.5~4L)当り0.5L | 定植前日~定植当日 | 1回 | 灌注 |
| 非結球レタス | べと病 | 5000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| 非結球レタス | べと病 | 500倍散布液量 セル成型育苗トレイ1箱またはペーパーポット1冊(約30×60cm、使用土壌約1.5~4L)当り0.5L | 定植前日~定植当日 | 1回 | 灌注 |
FRACコード:43(フルオピコリド)+40(ベンチアバリカルブイソプロピル、カルボン酸アミド〔CAA〕系)
バイエル クロップサイエンスの技術資料(第4版、2023年)によれば、フルオピコリドは病原菌の細胞膜の強度に関わるスペクトリン様タンパク質に作用し、その網目状構造を壊して、最終的に細胞を破壊します。べと病菌・疫病菌の生活環のほぼすべての段階を阻害し、特に遊走子の運動を止める効果が高いとされています。予防効果と治療効果をあわせ持ち、浸達性と浸透移行性があります。
技術資料によれば、病原菌の細胞壁の生合成を阻害します。低濃度で菌糸生育、遊走子のうの直接発芽、被のう胞子の発芽を強く抑え、遊走子のうの形成も阻害して、次世代の病原菌の密度を下げる効果が期待されるとしています。予防効果だけでなく治療効果もあり、感染後の散布でも防除効果が期待できます。
遊走子の運動はフルオピコリド、菌糸生育・遊走子のう形成は両成分が抑え、生活環の多くの段階を2成分で抑えます(技術資料の図、各論文)。
フルオピコリドは1999年にAgrEvo UK社(2002年からBayer CropScienceの一部)が発見しました(Wu ら 2020)。ベンチアバリカルブイソプロピルはクミアイ化学工業などが、アミノ酸骨格を持つバリンアミドカーバメート誘導体の探索から見い出した成分で、その開発研究は日本農薬学会の業績賞(技術)を受賞しています(境ら 2010)。本剤は2012年8月20日に登録されました。
フルオピコリド33.0%、ベンチアバリカルブイソプロピル12.0%のフロアブル(類白色水和性粘稠懸濁液体)で、有効年限は4年です。
たまねぎべと病の定植前後の防除(佐賀県ほか、井手 2020、タマネギべと病防除対策マニュアル):平成28年産で佐賀県のたまねぎ収量が平年の6割ほどに落ちた被害を受けた共同研究で、定植前後に使う剤として、本剤などCAA系の成分を含む剤が高い効果を示したとしています。平成30年産の試験の図では、本剤の区の発病株割合が最も低く推移していました(数値ラベルなし)。
ベンチアバリカルブイソプロピル・TPN水和剤は、常用濃度で300mmの降雨後も防除価100で、耐雨性が高いとされています。著者は浸達性を持つ成分を含むためと考えています(本剤とは混合相手が異なる製剤の試験です)。
本剤は普通物です。製剤の急性経口・経皮LD50はいずれも2,000mg/kg超(ラット)で、皮膚・眼の刺激性、皮膚感作性はないとされています。水生生物(製剤)は、コイLC50 4.33mg/L、オオミジンコEC50 1,000mg/L超、藻類ErC50 431mg/Lです。原体の試験では、ミツバチ、タイリクヒメハナカメムシ、チリカブリダニなどへの影響はなく、カイコではフルオピコリドで軽い生育遅延が見られました(技術資料)。
収穫前日まで(きゅうり・かんきつ・レタス類・バジル)、収穫7日前まで(はくさい・たまねぎ・ほうれんそう)、収穫30日前まで(ぶどう)です。本剤は3回以内(レタス類は灌注1回・散布2回以内)で、フルオピコリド・ベンチアバリカルブイソプロピルを含む農薬の総使用回数も成分ごとに3回以内です。必ず最新の適用表で確認してください。
使用前にビンをよく振ってから薬量を計ってください。散布液は調製した当日に使い切ってください。
軟弱徒長苗・未熟苗への処理、高温乾燥条件、過剰量の使用では、葉縁の褐変・黄化を生じるおそれがあります。処理の直前・直後の潅水は避けてください。
散布機種の散布基準・使用上の注意事項に従ってください。
あんずに薬害を生じるおそれがあるので、付近にある場合はかからないよう注意してください。蚕に影響があるので、桑葉にかからないよう注意してください。
誤飲などのないよう注意してください。散布の際は農薬用マスク、不浸透性手袋などを着用し、作業衣は他のものと分けて洗濯してください。かぶれやすい体質の人は取り扱いに十分注意してください。
直射日光を避け、食品と区別して、なるべく低温で乾燥した場所に密栓して保管してください。
普通物に区分されています。
FRACコード43(フルオピコリド)とFRACコード40(ベンチアバリカルブイソプロピル、CAA系)の混合剤です。作用機作の異なる2成分の組み合わせで、耐性菌発達のリスクを抑えています。一方、CAA剤は耐性菌のリスクが高いとされ、佐賀県のマニュアルは、CAA剤を含む混合剤でも1作2回までの使用に留めるよう勧めています。
福岡県は、ぶどうでCAA剤を年間2回以内とするよう指導しています(菊原ら 2014)。
Wu ら(2020)は、フルオピコリドの耐性リスク管理として、他の卵菌類用殺菌剤(フルオピモミドを除く)とのローテーション・混用を勧めています。佐賀県のマニュアルは、たまねぎべと病の春以降の二次感染期は、マンゼブ剤を軸とした切れ目のない予防散布を基本としています。
登録上は多くの作物で3回以内(レタス類は灌注1回・散布2回以内)ですが、耐性菌対策としてより少ない回数が勧められている地域もあります。成分の一つベンチアバリカルブイソプロピルはCAA系で、ぶどう・きゅうりのべと病菌では海外でCAA剤の耐性が報告されています。佐賀県のタマネギべと病防除対策マニュアルは、CAA剤を含む混合剤でも1作2回まで、福岡県はぶどうでCAA剤を年間2回以内とするよう指導しています。
海外では一部で見つかっています。イタリアでは2014年に、ぶどうべと病菌でフルオピコリドが効きにくい菌が見つかったと報告されています。欧州のジャガイモ疫病菌では、2013〜2023年の調査で耐性菌は見つかっていません。作用の異なる剤とローテーションで使ってください。
定植前後の散布が効果的とされています。佐賀県などの共同研究では、定植前後(苗床または本圃)からジャストフィットフロアブルなどCAA系の成分を含む剤を散布すると、一次感染による発病を抑える効果が高かったとしています。春以降の二次感染期は、マンゼブ剤などによる切れ目のない予防散布が基本とされています。
定植前日〜当日に、500倍液をセル成型育苗トレイ1箱当たり0.5L灌注します。軟弱に徒長した苗や未熟な苗への処理、高温乾燥の条件、量が多すぎる場合は、葉の縁が褐変・黄化するおそれがあります。処理の直前・直後の水やりは避けてください。
展葉期から小豆大までの散布が勧められています。メーカーの試験では、小豆大までの散布で果実の汚れや果粉の溶脱は見られませんでした。収穫30日前まで使えます。
あんずに薬害を生じるおそれがあるので、近くにある場合はかからないよう注意してください。蚕に影響があるので、桑葉にかからないよう注意してください。
魚に対する毒性がやや強いので、河川や養殖池などに流れ込まないよう注意してください。製剤のコイに対する半数致死濃度(96時間)は4.33mg/Lです。
他剤と混ぜるときは、1剤ずつ水に溶いてから次を加えます。乳剤と混ぜる場合は乳剤が先です。少ない水に2剤を同時に入れて練らないでください。
ご使用に際して、製品ラベルに記載された希釈倍率・使用時期・使用回数・収穫前日数を必ず遵守してください。製品ラベルの記載と本ページの記載が異なる場合や薬害や安全使用上の注意などの記載がある場合は、製品ラベルの記載に従ってください。都道府県によってご使用を控えるよう指定されている農薬があるため、お住まいの地域の指針もあわせてご確認ください。河川・水路等への流入および周辺への飛散に注意し、使用後の容器は適切に処理してください。誤って眼または皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流してください。体調に異常が生じた場合は、医師の診断を受けてください。直射日光および高温を避け、小児の手の届かない場所で保管してください。
