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最終確認:2026年10月3日
農薬登録情報:独立行政法人農林水産消費安全技術センター
技術情報:コルテバ・アグリサイエンス日本株式会社技術資料ほか
ホライズンドライフロアブルは、シモキサニルとファモキサドンを有効成分とする、FRACコード27+11の2成分混合殺菌剤です。感染直後の広がりを止める成分と感染前から守る成分の組み合わせで、ぶどう・きゅうり・トマト・ばれいしょなどのべと病・疫病を防除します。雨にも強い剤です。
シモキサニルは葉の中にすばやくしみ込み、感染直後の病原菌の広がりを止めます。ファモキサドンは病原菌のエネルギーをつくる工程を止め、葉の表面に固着して感染前から守ります。
べと病・疫病に、治療と予防の2つの効き方
シモキサニルは感染直後の病原菌の広がりを止める治療的な効き方、ファモキサドンは感染前から作物を守る予防的な効き方をします。2つの成分の相性はよく、ぶどうべと病の試験では、ファモキサドン単独で防除価71、シモキサニル単独で28だったのに対し、混ぜると96と相乗効果が確認されています。
感染直後(発病前)に散布しても効く
感染前の予防散布だけでなく、感染直後で病斑が出る前の散布でも効果があります。長崎県のばれいしょ疫病の試験では、疫病菌の接種24時間後・48時間後に散布しても高い防除効果が認められました。
葉の中にすばやくしみ込み、表面にも固着。雨に強い
シモキサニルは散布後すばやく葉の中に吸収され、ファモキサドンは葉の表面のクチクラ層に強く固着します。そのため、散布後に雨が降っても効果が落ちにくい剤です。
| 作物 | 適用病害虫雑草 | 希釈倍数・使用量 | 使用時期 | 使用回数 | 使用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| きゅうり | べと病 | 2500倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| すいか | 褐色腐敗病 | 2500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| だいず | べと病 | 2500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| たまねぎ | べと病 | 2500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫3日前まで | 3回以内 | 散布 |
| たまねぎ | 白色疫病 | 2500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫3日前まで | 3回以内 | 散布 |
| トマト | 疫病 | 1500~2500倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| トマト | 葉かび病 | 2500倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| なす | 褐色腐敗病 | 2500倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| はくさい | べと病 | 2500~5000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 3回以内 | 散布 |
| はくさい | 白さび病 | 2500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 3回以内 | 散布 |
| ばれいしょ | 疫病 | 1000~2500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 4回以内 | 散布 |
| ばれいしょ | 疫病 | 400倍散布液量 25L/10a | 収穫14日前まで | 4回以内 | 散布 |
| ばれいしょ | 疫病 | 40倍散布液量 3.2~8L/10a | 収穫14日前まで | 4回以内 | 無人航空機による散布 |
| ばれいしょ | 疫病 | 20倍散布液量 1.6~4L/10a | 収穫14日前まで | 4回以内 | 無人航空機による散布 |
| ばれいしょ | 夏疫病 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 4回以内 | 散布 |
| ぶどう | べと病 | 2500~5000倍散布液量 200~700L/10a | 収穫21日前まで | 3回以内 | 散布 |
| ぶどう | 褐斑病 | 2500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫21日前まで | 3回以内 | 散布 |
| ぶどう | 黒とう病 | 2500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫21日前まで | 3回以内 | 散布 |
| ぶどう | 晩腐病 | 2500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫21日前まで | 3回以内 | 散布 |
| ブロッコリー | べと病 | 2500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| ブロッコリー | 黒すす病 | 2500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| ミニトマト | 疫病 | 1500~2500倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| ミニトマト | 葉かび病 | 2500倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| メロン | べと病 | 2500倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| らっきょう | 白色疫病 | 1000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫21日前まで | 3回以内 | 散布 |
FRACコード:27(シモキサニル、作用機構不明、シアノアセトアミドオキシム系)+11(ファモキサドン、QoI殺菌剤、複合体Ⅲ:シトクロムbc1のQo部位の阻害、オキサゾリジンジオン系)
技術資料(ホライズンドライフロアブル協議会、平成13年6月改訂)によれば、シモキサニルは核酸(DNA、RNA)・アミノ酸・脂質の合成を阻害するほか、呼吸系代謝にも影響を及ぼすことが確認されており、その全体像は完全には解明されていません。病原菌の生活史では、主に胞子の形成と菌糸の伸長を強く阻害します。
べと病菌・疫病菌に特異的に強い殺菌活性を示すとしています。Kazmirchuk ら(2024)は出芽酵母を使った研究で、シモキサニルがジヒドロ葉酸還元酵素を阻害してRNA合成を妨げる可能性を示しました(著者の提案するモデルで、疫病菌での検証は分子ドッキングによる予測のみ)。
同技術資料によれば、ファモキサドンは病原菌のミトコンドリアの電子伝達系(チトクロームbとcの間)を遮断し、エネルギー(ATP)の生産を抑えます。放出された遊走子への作用が最も大きく、遊走子の放出を強く阻害し、放出された遊走子も直ちに活動を停止して崩壊するとしています。Esser・Xia(2024)は、ファモキサドンをオキサゾリジンジオン系の最初のQo部位阻害剤とし、結晶構造からアゾキシストロビンとは結合様式が異なるとしています。
同技術資料と開発元の研究者による報告(白石 2001)は、シモキサニルを感染直後の進展阻止効果が高い成分(治療的効果)、ファモキサドンを感染前の予防効果が高く残効性が長い成分(保護的効果)とし、2成分には相乗的な作用があるとしています。ぶどうべと病の試験(1998年 デュポン社)では、防除価がファモキサドン5ppm単用71、シモキサニル125ppm単用28、混用の期待値(Colbyの方法)79に対し、混用の実測値は96でした。
同技術資料によれば、シモキサニルは散布後すばやく葉の中に吸収されます。ファモキサドンは親油性が高く、葉の表面に強く固着します。ぶどうの葉での分布(1998年 フランス・パリ大学、モデル)は、表面にあって水の影響を受けやすいもの20〜25%、クチクラ層と強く結合して水の影響を受けにくいもの65〜70%、クチクラ層の内部へ浸達するもの5〜10%でした。
本剤は、デュポン社が開発したシモキサニルとファモキサドンの混合剤です。日本ではデュポン株式会社と日産化学工業株式会社が共同で開発し、試験名「DKX007ドライフロアブル」で1996年から委託試験を行い、2000年4月28日に登録されました(白石 2001、技術資料)。シモキサニルはヨーロッパで20年以上の使用実績を持つべと病・疫病専用の成分で、ファモキサドンは新規に開発された保護殺菌剤とされています。
シモキサニル30.0%、ファモキサドン22.5%の水和剤(ドライフロアブル、褐色水和性細粒及び微粒)です。登録を有する者はコルテバ・アグリサイエンス日本株式会社です。
技術資料はホライズンドライフロアブル協議会(日産化学工業株式会社、デュポン株式会社)が発行した平成13年6月改訂版です。当時の登録は7作物で、現行の登録内容とは異なります。技術資料の試験結果の多くはグラフのみで示されています。
接種24・48時間後の散布で高い防除効果が認められ、72時間後の散布では効果が低下しました。同資料は、圃場では予防散布に努めるよう勧めています。
同資料は「効果が認められた」としています。
中国のブドウべと病菌170株の調査(Yang ら 2026)では、シモキサニル耐性の頻度は29.42%でした。ブドウべと病菌のシモキサニル耐性は、1990年代に北イタリアで初めて報告されたとしています。著者は、混合剤の成分として使うか、作用機構の異なる剤とローテーションするよう勧めています。
本剤は普通物です。技術資料での製剤の急性経口LD50はラット1,333mg/kg、マウス♂855mg/kg・♀673mg/kgです。眼に刺激性、皮膚に軽度の刺激性があり、皮膚感作性はありません。魚毒性は技術資料ではB類相当(コイTLm〔48時間〕5.0ppm、ミジンコTLm〔3時間〕75ppm)とされています(青森県の資料はC類と記載)。
ミツバチ、マルハナバチ、チリカブリダニ、オンシツツヤコバチは「通常の散布濃度で影響なし」とされています。
シモキサニルを含む農薬、ファモキサドンを含む農薬とも、ばれいしょ4回以内、その他の作物3回以内です。必ず最新の適用表で確認してください。
べと病・疫病の発生前〜発生始めに予防的に使用し、作用性の異なる他の殺菌剤と組み合わせて使用します。
石灰硫黄合剤、ボルドー液などアルカリ性の剤との混用は避けてください。散布液は調製後できるだけ速やかに散布してください。
蚕に影響があるので、付近に桑園がある場合はかからないように散布してください。
水産動物に強い影響を及ぼすので、河川、湖沼、海域、養殖池などに飛散・流入するおそれのある場所では使用しないでください。散布器具・容器の洗浄水や残った薬液は河川などに流さないでください。
眼に刺激性があるので眼に入らないよう注意し、皮膚に弱い刺激性があるので皮膚に付着しないよう注意してください。散布時は農薬用マスク、手袋、長ズボン・長袖の作業衣などを着用してください。
普通物に区分されています。
FRACコード27(シモキサニル)とFRACコード11(ファモキサドン、QoI)の混合剤です。ファモキサドンは他のQoI剤とほとんどの場合交差耐性を示し、ブドウべと病菌・キュウリべと病菌などでは国内でもQoI剤耐性菌が確認されています。QoI剤(FRACコード11)を含む他の剤と続けて使わず、作用性の異なる剤とローテーションしてください。
日本植物病理学会 殺菌剤耐性菌研究会のガイドライン(石井 2012、耐性菌未発生圃場の場合)は、QoI剤の使用をウリ科野菜で1作1回まで、ブドウで1年1回まで、その他の混合剤(効果が期待できる他の成分を含む)で1年2回までとしています。登録上の使用回数とは別の、耐性菌対策としての推奨です。
シモキサニルは卵菌類(べと病菌・疫病菌など)に特異的に効く成分です。ファモキサドンは卵菌類に加え、アルタナリア属菌など比較的広い範囲の病原菌にも活性があるとされています(技術資料)。
地域によっては効きにくくなっている場合があります。ファモキサドンはQoI剤(FRACコード11)で、ブドウべと病菌では2008年以降、山形・福島・長野・山梨など本州の主要産地でQoI剤耐性菌が高い割合で見つかっています。キュウリべと病菌でも国内で検出されています。茨城県のQoI剤耐性菌が出ている圃場では、本剤の防除価は44でした。地域の防除指針を確認し、効き目が落ちている場合は系統の違う剤を使ってください。
感染直後なら効きますが、病気が進んでからでは効果が不十分になります。長崎県のばれいしょ疫病の試験では、接種72時間後の散布で効果が下がりました。技術資料も、べと病・疫病は進展が早いので、発生前〜発生始めに予防的に使うのが基本としています。
根や葉から吸われて株全体に回る浸透移行性は、資料には示されていません。シモキサニルは葉の中にしみ込む浸達性を持ち、ファモキサドンは葉の表面に固着して守る成分です。
品種と時期によって薬害が出ることがあります。黄芯系など葉の柔らかい品種では薬害を生じる場合があり、大福系品種には使えません。日中の高温時や結球前の散布は避け、朝夕の涼しい時間に散布してください。
果実肥大中期(あずき大)〜袋かけ前の散布では、果粉が溶け落ちることがあります。この時期の散布は控えてください。
技術資料では、通常の散布濃度で影響はないとされています。ミツバチ、マルハナバチ、チリカブリダニ、オンシツツヤコバチについての記載です。
水産動物に強い影響を及ぼすので、河川・湖沼・海域・養殖池などに飛散・流入するおそれのある場所では使わないでください。眼に刺激性があるので眼に入らないよう注意し、農薬用マスク・手袋・長袖の作業衣を着用してください。石灰硫黄合剤やボルドー液などアルカリ性の剤とは混用できません。
他剤と混ぜるときは、1剤ずつ水に溶いてから次を加えます。乳剤と混ぜる場合は乳剤が先です。少ない水に2剤を同時に入れて練らないでください。
ご使用に際して、製品ラベルに記載された希釈倍率・使用時期・使用回数・収穫前日数を必ず遵守してください。製品ラベルの記載と本ページの記載が異なる場合や薬害や安全使用上の注意などの記載がある場合は、製品ラベルの記載に従ってください。都道府県によってご使用を控えるよう指定されている農薬があるため、お住まいの地域の指針もあわせてご確認ください。河川・水路等への流入および周辺への飛散に注意し、使用後の容器は適切に処理してください。誤って眼または皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流してください。体調に異常が生じた場合は、医師の診断を受けてください。直射日光および高温を避け、小児の手の届かない場所で保管してください。
