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最終確認:2026年8月31日
農薬登録情報:独立行政法人農林水産消費安全技術センター
技術情報:住友化学株式会社技術資料ほか
パダンSG水溶剤はカルタップ塩酸塩を有効成分とするネライストキシン類縁体系の殺虫剤で、コブノメイガ・ニカメイチュウなど稲の茎葉食害性害虫によく効きます。茎葉を食害する害虫への経口殺虫作用に優れています。海産動物ゴカイの体内成分に由来する、現在のところ唯一の殺虫剤として知られ、1967年から半世紀以上使われ続けています。
本剤は虫が食べることで効果を発揮し、神経の情報伝達を遮断して麻痺させます。短時間の接触では回復することもありますが、薬剤に触れ続けた害虫は活動できなくなります。
食害性害虫への強力な経口殺虫作用
ごく少量を食べただけで速やかに麻痺し、死に至ります。稲のコブノメイガ・ニカメイチュウ・イネツトムシ、茶のチャノホソガなど、茎葉を食い荒らす害虫に特に優れた効果を発揮します。
コナガ特効
コナガに対して強い殺卵作用・殺成虫作用を示し、幼虫への残効性も長く続きます。高温時でも効果が落ちにくいのが特長です。
釣り餌のゴカイから生まれた殺虫剤
海産動物ゴカイの体内成分「ネライストキシン」に着目して開発された、現在のところ唯一の動物体内成分由来の殺虫剤です。 1967年の登録から半世紀以上使われ続けています。
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| 作物 | 適用病害虫雑草 | 希釈倍数・使用量 | 使用時期 | 使用回数 | 使用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| いぐさ | イグサシンムシガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | - | 3 | 散布 |
| おうとう | アメリカシロヒトリ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫前日まで | 1 | 散布 |
| かき | イラガ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫45日前まで | 4 | 散布 |
| かき | カキノヘタムシガ | 1500~3000倍散布液量 200~700L/10a | 収穫45日前まで | 4 | 散布 |
| かき | カキホソガ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫45日前まで | 4 | 散布 |
| かき | チャノキイロアザミウマ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫45日前まで | 4 | 散布 |
| かき | フタモンマダラメイガ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫45日前まで | 4 | 散布 |
| かぶ | キスジノミハムシ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫3日前まで | 3 | 散布 |
| くり | ネスジキノカワガ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 裂果前 | 3 | 散布 |
| くり | モモノゴマダラノメイガ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 裂果前 | 3 | 散布 |
| くわい | ハスモンヨトウ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫30日前まで | 3 | 散布 |
| さくら | クビアカツヤカミキリ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 成虫発生期 | 3 | 散布 |
| さくら | シャクトリムシ類 | 1500~3000倍散布液量 200~700L/10a | 発生初期 | 3 | 散布 |
| さといも | ネグサレセンチュウ | 300倍散布液量 - | 植付前 | 1 | 30分間種いも浸漬 |
| さやいんげん | マメハモグリバエ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3 | 散布 |
| さやえんどう | ウラナミシジミ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3 | 散布 |
| さやえんどう | ナモグリバエ | 1500~3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3 | 散布 |
| しそ | アザミウマ類 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫3日前まで | 2 | 散布 |
| しょうが | アズキノメイガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 5 | 散布 |
| しょうが | アワノメイガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 5 | 散布 |
| すもも | アブラムシ類 | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫14日前まで | 3 | 散布 |
| すもも | クビアカツヤカミキリ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫14日前まで | 3 | 散布 |
| たまねぎ | アザミウマ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3 | 散布 |
| たまねぎ | ハモグリバエ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3 | 散布 |
| だいこん | アオムシ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| だいこん | アブラムシ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| だいこん | カブラハバチ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| だいこん | キスジノミハムシ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| だいこん | コナガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| だいこん | ダイコンハムシ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| だいこん | ハモグリバエ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| てんさい | シロオビノメイガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 4 | 散布 |
| とうもろこし | アワノメイガ | 1000~1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫21日前まで | 2 | 散布 |
| とうもろこし | アワノメイガ | 16倍散布液量 1.6L/10a | 収穫21日前まで | 2 | 無人航空機による散布 |
| とうもろこし | アワノメイガ | 8倍散布液量 0.8~1.6L/10a | 収穫21日前まで | 2 | 無人航空機による散布 |
| とうもろこし | アワヨトウ | 1000~1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫21日前まで | 2 | 散布 |
| とうもろこし | ツマジロクサヨトウ | 1000~1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫21日前まで | 2 | 散布 |
| なばな類 | アブラムシ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| なばな類 | コナガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| ねぎ | さび病 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2 | 散布 |
| ねぎ | アザミウマ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2 | 散布 |
| ねぎ | クロバネキノコバエ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2 | 散布 |
| ねぎ | ハモグリバエ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2 | 散布 |
| はくさい | アオムシ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| はくさい | アブラムシ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| はくさい | カブラハバチ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| はくさい | コナガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| はくさい | ナメクジ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| はつかだいこん | コナガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 1 | 散布 |
| はとむぎ | アワノメイガ | 1500倍散布液量 60~150L/10a | 収穫14日前まで | 2 | 散布 |
| ばれいしょ | ジャガイモガ若齢幼虫 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 6 | 散布 |
| びわ | ナシヒメシンクイ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 春芽伸長初期まで 但し、収穫90日前まで | 4 | 散布 |
| ふき | アザミウマ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫120日前まで | 2 | 散布 |
| ふき | アブラムシ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫120日前まで | 2 | 散布 |
| ふき | フキノメイガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫120日前まで | 2 | 散布 |
| ぶどう | スカシバ類 | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫14日前まで | 2 | 散布 |
| ぶどう | チャノキイロアザミウマ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫14日前まで | 2 | 散布 |
| ぶどう | フタテンヒメヨコバイ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫14日前まで | 2 | 散布 |
| ほうれんそう | アシグロハモグリバエ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2 | 散布 |
| ほうれんそう | シロオビノメイガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2 | 散布 |
| ほうれんそう | ミナミキイロアザミウマ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2 | 散布 |
| もも | アブラムシ類 | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫14日前まで | 3 | 散布 |
| もも | クビアカツヤカミキリ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫14日前まで | 3 | 散布 |
| ガーベラ | マメハモグリバエ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | - | 4 | 散布 |
| ガーベラ | ミカンキイロアザミウマ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 発生初期 | 4 | 散布 |
| キウイフルーツ | キイロマイコガ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫30日前まで | 3 | 散布 |
| キウイフルーツ | キウイヒメヨコバイ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫30日前まで | 3 | 散布 |
| キャベツ | アオムシ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 4 | 散布 |
| キャベツ | アオムシ | 48倍散布液量 3.2L/10a | 収穫14日前まで | 4 | 無人航空機による散布 |
| キャベツ | アオムシ | 24倍散布液量 1.6~3.2L/10a | 収穫14日前まで | 4 | 無人航空機による散布 |
| キャベツ | アブラムシ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 4 | 散布 |
| キャベツ | コナガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 4 | 散布 |
| キャベツ | コナガ | 48倍散布液量 3.2L/10a | 収穫14日前まで | 4 | 無人航空機による散布 |
| キャベツ | コナガ | 24倍散布液量 1.6~3.2L/10a | 収穫14日前まで | 4 | 無人航空機による散布 |
| キャベツ | ナメクジ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 4 | 散布 |
| キャベツ | ハイマダラノメイガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 4 | 散布 |
| シクラメン | ミカンキイロアザミウマ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 発生初期 | 5 | 散布 |
| チンゲンサイ | キスジノミハムシ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| チンゲンサイ | コナガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| チンゲンサイ | ハモグリバエ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| ネクタリン | アブラムシ類 | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫14日前まで | 3 | 散布 |
| ネクタリン | クビアカツヤカミキリ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫14日前まで | 3 | 散布 |
| ブロッコリー | コナガ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 4 | 散布 |
| ホップ | アサノミハムシ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| ホップ | アズキノメイガ | 1500倍散布液量 200~700L/10a | 収穫7日前まで | 3 | 散布 |
| レタス | アブラムシ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 3 | 散布 |
| レタス | ナメクジ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 3 | 散布 |
| レタス | ハモグリバエ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 3 | 散布 |
| 実えんどう | ウラナミシジミ | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3 | 散布 |
| 実えんどう | ナモグリバエ | 1500~3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3 | 散布 |
| 樹木類(さくらを除く) | シャクトリムシ類 | 1500~3000倍散布液量 200~700L/10a | 発生初期 | 3 | 散布 |
| 稲 | イネシンガレセンチュウ | 1500~3000倍散布液量 - | 浸種前 | 1 | 24時間種もみ浸漬 |
| 稲 | イネツトムシ | 1500倍散布液量 60~150L/10a | 収穫21日前まで | 6 | 散布 |
| 稲 | イネドロオイムシ | 100~200g/10a | 移植時 | 1 | ペースト肥料に溶かし側条施肥田植機で施用する。 |
| 稲 | イネハモグリバエ | 1500~3000倍散布液量 60~150L/10a | 収穫21日前まで | 6 | 散布 |
| 稲 | イネミズゾウムシ | 200g/10a | 移植時 | 1 | ペースト肥料に溶かし側条施肥田植機で施用する。 |
| 稲 | コブノメイガ | 200g/10a | 移植時 | 1 | ペースト肥料に溶かし側条施肥田植機で施用する。 |
| 稲 | コブノメイガ | 1500倍散布液量 60~150L/10a | 収穫21日前まで | 6 | 散布 |
| 稲 | ニカメイチュウ | 200g/10a | 移植時 | 1 | ペースト肥料に溶かし側条施肥田植機で施用する。 |
| 稲 | ニカメイチュウ | 1500倍散布液量 60~150L/10a | 収穫21日前まで | 6 | 散布 |
| 茶 | チャノキイロアザミウマ | 1500倍散布液量 200~400L/10a | 摘採10日前まで | 1 | 散布 |
| 茶 | チャノホソガ | 1500倍散布液量 200~400L/10a | 摘採10日前まで | 1 | 散布 |
| 茶 | チャノミドリヒメヨコバイ | 1500倍散布液量 200~400L/10a | 摘採10日前まで | 1 | 散布 |
| 非結球レタス | アブラムシ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 2 | 散布 |
| 非結球レタス | ナメクジ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 2 | 散布 |
| 非結球レタス | ハモグリバエ類 | 1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 2 | 散布 |
| 飼料用とうもろこし | アワノメイガ | 1000~1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫21日前まで | 2 | 散布 |
| 飼料用とうもろこし | アワノメイガ | 16倍散布液量 1.6L/10a | 収穫21日前まで | 2 | 無人航空機による散布 |
| 飼料用とうもろこし | アワノメイガ | 8倍散布液量 0.8~1.6L/10a | 収穫21日前まで | 2 | 無人航空機による散布 |
| 飼料用とうもろこし | アワヨトウ | 1000~1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫21日前まで | 2 | 散布 |
| 飼料用とうもろこし | ツマジロクサヨトウ | 1000~1500倍散布液量 100~300L/10a | 収穫21日前まで | 2 | 散布 |
作物名に「(〜を除く)」とある場合はかっこ内の作物がその行の適用範囲に含まれません。 例えば「かんきつ(みかんを除く)」の行に記載された希釈倍数・使用時期・使用回数はみかんに適用されません。 かっこ内の作物は独自の条件で別の行に登録されている場合があります。表内に該当する作物名の行があるかご確認ください。 該当する行がない場合は本剤に当該作物の登録はありません。
IRACコード:14(ネライストキシン類縁体、ニコチン性アセチルコリン受容体チャネルブロッカー)
カルタップ自体は前駆体(プロドラッグ)であり、体内で加水分解されてネライストキシンに変換されることで活性を発揮します。ネライストキシンは昆虫中枢神経系のニコチン性アセチルコリン受容体に競合的に結合し、アセチルコリンによるシナプス後膜の脱分極を抑制します。電気生理学的研究では、軸索そのものの伝導(活動電位)には影響せず、シナプスを介した神経節の伝達だけが選択的に遮断されることが確認されています。
この中毒は有機リン剤による麻痺とは異なり、多くの昆虫種で自然に回復しうる可逆的なものですが、茎内に食入したニカメイチュウのように薬剤の残渣に長時間接触し続ける状況では、麻痺から回復する間もなく死に至ります。「短時間の接触では回復するが、長時間の接触では死亡する」という量・時間依存的な効き方が特徴です。
ツマグロヨコバイのような吸汁性害虫では、体表に直接処理してもほとんど中毒が起こらない一方、カルタップを処理したイネ体を通して摂取した場合には速効的に中毒することが知られています。
有効成分カルタップは、海産動物イソメ(ゴカイ)の体内成分「ネライストキシン」の殺虫作用に着目して武田薬品工業株式会社が開発した成分です。研究の起源は1920年代に遡り、東京深川の開業医・新田清三郎氏が、釣り餌用に大量のイソメを扱う患者の中毒症状をきっかけに研究を開始し、1934年に活性成分が塩基性物質であることを報告しました。
東京大学教授・永井潜がこの成分を「ネライストキシン」と命名しています。その後1960年代に東京大学農学部の橋本康・岡市友利両氏がネライストキシンの効率的な抽出法を確立し、化学構造(1,2-ジチオラン化合物)を解明しました。武田薬品はこの研究を1960年から新規殺虫剤創製研究として引き継ぎ、ネライストキシンの全合成に成功したうえで数百点の関連化合物を合成・スクリーニングし、1967年にカルタップ(商品名パダン)をニカメイチュウ防除剤として商品化しました。
原料となったイソメの正式な種は長年不確定でしたが、2010年の研究で「Lumbrineris brevicirra」(キボシイソメ科)であると同定されています。本メモの対象「パダンSG水溶剤」(登録番号18950)は、1995年に登録された、水に溶けやすい顆粒タイプの後継製剤です。その後、武田薬品工業の農薬事業は住友化学株式会社に承継され、現在は住友化学から販売されています。
致死量以下の量でもイネミズゾウムシ成虫の行動を鈍化させ、摂食量減少・卵巣発育遅延・産卵抑制を引き起こすことが確認されています。イネ苗根部にはやや高濃度のカルタップが分布し、孵化幼虫に対する致死作用を及ぼすことで、次世代の発生そのものを抑制する効果も報告されています。
1967年の原著論文による哺乳動物急性経口毒性のLD50はマウス165mg/kg、ラット250mg/kgで、当時の主要な有機リン系殺虫剤と比較して哺乳動物への毒性はかなり低いと位置づけられていました。魚類に対する半数致死限界(TLm、48時間)はコイ1.5ppm、メダカ0.4ppmです。
製剤毒性は劇物です。眼・皮膚に対して強い刺激性があります。本剤による中毒に対しては、動物実験でL-システイン製剤の投与が有効であると報告されています。
国内での年間使用量は原体換算で約2,000t(国内の約25種作物、延べ60種近くの害虫の防除に使用)、海外(アジア・南米)でも年間約800t(原体、2010年時点)が使用されており、半世紀近く継続使用されている息の長い薬剤です。
本剤を使用した場合、チオシクラムまたはベンスルタップを含む剤は使用しないでください。
同一の害虫を防除対象とする育苗箱施用薬剤と併用すると薬害発生のおそれがあるため避けてください。アルカリ性ペースト肥料との混和は有効成分が分解するおそれがあるため、混和可能が確認されているペースト肥料以外との混和は避けてください。
あぶらな科野菜では夏季高温時の苗や軟弱な苗に薬害を生じるおそれがあります。かきでは果実の着色直前以降、かき・ぶどうでは樹勢の弱い場合に薬害のおそれがあります。なす、たばこにはかからないよう注意してください。キウイフルーツでは新葉に黄変の薬害が生じることがあります。イネシンガレセンチュウ防除の種もみ消毒では、催芽種は薬害のおそれがあるため催芽前に処理してください。
長期間の毒性があるため、桑に付着するおそれのある場所では使用を避けてください。
水産動植物(魚類)に影響を及ぼすため養魚田では使用しないでください。水産動植物(甲殻類・ドジョウ)にも影響を及ぼすため、河川・養殖池等への飛散・流入に注意してください。
劇物のため、眼・皮膚に対する強い刺激性に注意し、取扱いには十分注意してください。
IRACグループ14(ネライストキシン類縁体、ニコチン性アセチルコリン受容体チャネルブロッカー)に属する成分です。有機リン剤やカーバメート剤とは殺虫作用が全く異なるため、これらの薬剤に抵抗性を発達させた害虫にも高い効果を発揮します。一方で、同じネライストキシン系の成分(チオシクラム、ベンスルタップ)を含む薬剤との重複使用は、同一グループ内での抵抗性発達リスクを高めるため避ける必要があります。
コナガ防除では有機リン剤・合成ピレスロイド剤・BT剤・IGR剤等、作用性の異なる薬剤とのローテーション防除が推奨されています。
対象作物は稲・野菜・果樹・茶・花き・樹木類まで極めて幅広く、茎葉食害性の害虫を中心に非常に多くの害虫種に対応しています。稲ではニカメイチュウ、コブノメイガ、イネツトムシ、イネハモグリバエ、イネドロオイムシ、イネミズゾウムシに、果樹ではチャノキイロアザミウマ、カキホソガ、イラガ、フタモンマダラメイガなどに、野菜ではアブラムシ類、コナガ、ハイマダラノメイガ、キスジノミハムシなどに対応します。
水に非常に溶けやすい顆粒タイプで、開封時・薬液調製時の粉立ちが少なく扱いやすい剤型です。
※この農薬で登録されている作物と対象病害虫です。
はい、専用の側条施肥田植機を使えば、ペースト肥料に混和して田植と同時に施用できます。田植・施肥・害虫防除の3つの作業を同時に行えるため、防除の手間とコストを減らせます。ただし混和できるペースト肥料には条件があり、アルカリ性のものとは混和できないため、事前に混和可能な肥料か確認してください。
いいえ、本剤(パダンSG水溶剤)の登録適用害虫にスクミリンゴガイは含まれていないため、この目的での使用はできません。有効成分カルタップにはスクミリンゴガイの食害を防止する効果があるという研究報告があり、同じカルタップを有効成分とする粒剤タイプの「パダン粒剤4」が、水田でのスクミリンゴガイ対策として登録されています。
ジャンボタニシ対策をお考えの場合は、そちらの製品をご検討ください。農薬は登録された作物・対象病害虫の範囲でのみ使用することが法律で定められています。
はい、間接的な抑制効果が報告されています。カルタップを処理したイネにツマグロヨコバイ(イネ萎縮病ウイルスの媒介虫)が寄生すると、虫が死亡しない濃度でも吸汁行動そのものが抑制され、ウイルス病の発生を抑える効果が確認されています。ただしこれは有効成分カルタップについての研究報告であり、本剤の適用病害虫にツマグロヨコバイは含まれていません。
ツマグロヨコバイやイネ萎縮病を目的とした使用はできませんので、媒介虫の防除には登録のある薬剤をお選びください。
同じネライストキシン系の成分(チオシクラムまたはベンスルタップ)を含む薬剤との併用は避けてください。作用機構が同じグループ内での重複使用となり、抵抗性発達のリスクが高まります。
はい、注意が必要です。開発当初は当時主流だった有機リン系殺虫剤と比べて魚類への影響が少ないと評価されていましたが、現在の登録上も水産動植物(魚類・甲殻類・ドジョウ)への影響が明記されています。養魚田では使用せず、河川・養殖池等への飛散・流入にも注意してください。
目に入った場合は直ちに水で十分に洗い流し、速やかに医師の診断を受けてください。誤って飲み込んだ場合は、口をすすいだうえで無理に吐かせず、直ちに医師に相談してください。本剤による中毒にはL-システイン製剤の投与が有効であると報告されています。本剤は劇物に指定されているため、保管・取り扱いには通常以上の注意が必要です。
ご使用に際して、製品ラベルに記載された希釈倍率・使用時期・使用回数・収穫前日数を必ず遵守してください。製品ラベルの記載と本ページの記載が異なる場合や薬害や安全使用上の注意などの記載がある場合は、製品ラベルの記載に従ってください。都道府県によってご使用を控えるよう指定されている農薬があるため、お住まいの地域の指針もあわせてご確認ください。河川・水路等への流入および周辺への飛散に注意し、使用後の容器は適切に処理してください。誤って眼または皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流してください。体調に異常が生じた場合は、医師の診断を受けてください。直射日光および高温を避け、小児の手の届かない場所で保管してください。
