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最終確認:2026年10月3日
農薬登録情報:独立行政法人農林水産消費安全技術センター
技術情報:日本曹達株式会社技術資料ほか
※成分の一部が共通する例です。混合剤の代わりにはなりません。
ベトファイター顆粒水和剤は、シモキサニルとベンチアバリカルブイソプロピルを有効成分とする、べと病・疫病に効くFRACコード27+40の2成分混合殺菌剤です。高い予防効果と残効に加え、感染直後の発病も抑える効果を持ち、浸達性・浸透移行性で散布ムラがあっても安定した効果を発揮します。
シモキサニルは、べと病・疫病菌の胞子づくりや菌糸の侵入・広がりを止め、植物自身の抵抗反応も引き出します。ベンチアバリカルブイソプロピルは、菌の細胞壁をつくるしくみを止め、胞子の発芽から菌糸の伸長までを抑えます。
べと病・疫病の専用剤、2つの作用で生活環を断つ
べと病・疫病など、卵菌類による病気に絞って効く専用剤です。作用の異なる2つの成分が、胞子づくりから発芽、菌の侵入と広がりまで、病原菌の一生のほぼすべての段階をおさえます。
高い予防効果と残効、感染直後の発病も抑える
散布後も長く効果が続き、べと病・疫病の発病を持続的に抑えます。病原菌が植物に入り込んだ直後、まだ症状が出る前であれば、散布して発病を抑えることもできます。
浸達性・浸透移行性で散布ムラに強い
葉の表にかかった成分が葉の裏まで届き、葉の中でも広がるため、散布ムラがあっても安定した効果が期待できます。
| 作物 | 適用病害虫雑草 | 希釈倍数・使用量 | 使用時期 | 使用回数 | 使用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| かぼちゃ | 疫病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫3日前まで | 3回以内 | 散布 |
| きゅうり | べと病 | 2000~3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| すいか | 褐色腐敗病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫3日前まで | 3回以内 | 散布 |
| だいず | べと病 | 2000~3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 散布 |
| だいず | 茎疫病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 散布 |
| たばこ | 疫病 | 2000~3000倍散布液量 100~180L/10a | 収穫10日前まで | 2回以内 | 散布 |
| たまねぎ | べと病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| たまねぎ | 白色疫病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| トマト | 疫病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| なす | 褐色腐敗病 | 2000~3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| ねぎ | べと病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 3回以内 | 散布 |
| ばれいしょ | 疫病 | 1500~2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 4回以内 | 散布 |
| ぶどう | べと病 | 2000~3000倍散布液量 200~700L/10a | 収穫30日前まで | 3回以内 | 散布 |
| ミニトマト | 疫病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 3回以内 | 散布 |
| メロン | べと病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫3日前まで | 3回以内 | 散布 |
| らっきょう | 白色疫病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 3回以内 | 散布 |
FRACコード:27(シモキサニル:シアノアセトアミドオキシム系、作用点不明)+40(ベンチアバリカルブイソプロピル:カルボン酸アミド〔CAA〕系、セルロース合成酵素阻害)
技術資料は、べと病菌の生活環の各段階への作用を次のように示し、ベトファイターは両成分の作用を併せ持つとしています。
境ら(2010)は、ジャガイモ疫病菌の遊走子のう形成、遊走子のうの直接発芽、被のう胞子の発芽、菌糸生育を低濃度で阻害し(EC90はそれぞれ0.6、0.03、0.07、0.06µg/mL)、遊走子の放出や運動にはほとんど影響しないとしています。電子伝達系、核酸・タンパク質・脂質の生合成、細胞膜の機能には影響せず、菌糸先端が膨らむなどの形態異常が見られることから、細胞壁のセルロースの繊維化を阻害していると推測されています。
Cohen(2020)は、病原菌のセルロース合成酵素Ces3Aの働きを妨げて細胞壁合成を阻害するとしています。Miyake et al.(2005)は、Phytophthora属8種13菌株の菌糸生育を低濃度で抑え(I50 0.01〜0.05mg/L)、メタラキシル耐性株にも感受性株と同程度に効いたとしています。
長い使用歴にもかかわらず正確な作用機構は明らかになっていません。Yang et al.(2026)は、菌による代謝で殺菌性の物質に変わるとする説や、核酸・アミノ酸合成に影響する説を紹介しています。Kazmirchuk et al.(2024)は、出芽酵母を用いた研究から、シモキサニルがジヒドロ葉酸還元酵素を阻害してRNA合成を妨げるという新しいモデルを提案しています。
境ら(2010)は、ベンチアバリカルブイソプロピルはキュウリ・ブドウ・ハクサイ・キャベツ・タマネギ・レタスのべと病、トマト・ジャガイモの疫病に高い効果を示す一方、卵菌類の一部にのみ活性を示し、それ以外の菌類(いもち病、うどんこ病、灰色かび病など)には活性を示さないとしています。
シモキサニルはコルテバ・アグリサイエンス社の、ベンチアバリカルブイソプロピルはクミアイ化学工業の有効成分です。ベンチアバリカルブイソプロピルは、メタラキシルと同じくアミノ酸骨格を持つバリンアミドカーバメート誘導体をもとに、ベンゾチアゾール環の6位をフッ素で最適化することで移行性と治療活性が高められました。
開発当初から、耐性菌のリスクを下げるため作用機構の異なる剤との混合剤化が検討されてきたとされています。本剤は2009年6月24日に登録されました。
シモキサニル24.0%、ベンチアバリカルブイソプロピル10.0%の顆粒水和剤(褐色水和性細粒)で、有効年限は3年です。2000倍希釈液の有効成分濃度はシモキサニル120mg/L、ベンチアバリカルブイソプロピル50mg/Lで、境ら(2010)はベンチアバリカルブイソプロピルが圃場で50〜75µg/mLで高い防除効果を発揮するとしています。
キュウリにストロビルリン系剤耐性のべと病菌を接種し、接種4日前と3日後に本剤2000倍を散布した試験で、最終散布8日後・14日後とも発病はごくわずかで、無処理区では14日後に発病が大きく進みました。
キュウリべと病菌の接種1日後に散布した試験で、2000倍・3000倍とも接種4日後・6日後の防除価は高い水準でした。Miyake et al.(2005)は、ベンチアバリカルブイソプロピルをトマト疫病の接種12時間後に処理すると発病が見られず、24時間後の処理でもわずかな病徴にとどまり進展が抑えられたとしています。
境ら(2010)は、菌糸生育の阻害が強いため感染後の病斑の進展も阻害し、停止型病斑を示す場合もあるとしています。
胞子を形成したネギべと病の葉に本剤2000倍を散布すると、翌日の胞子の再形成は見られませんでした。
キュウリの葉の表面だけに散布し、葉裏にべと病菌(ストロビルリン系剤耐性菌)を接種した試験で、2000倍・3000倍とも高い防除効果を示しました。葉の基部側半分の表面だけに散布した試験では、散布部で高い防除効果、散布していない先端部でも一定の防除効果が見られました。Miyake et al.(2005)と境ら(2010)は、ベンチアバリカルブイソプロピルが葉の表から裏への浸達性を持ち、茎や根から吸収されて上位葉へ移行する一方、下位葉から上位葉への移行はほとんどないとしています。
Miyake et al.(2005)は、トマトでの人工降雨試験(1時間30mm)で、ベンチアバリカルブイソプロピルの耐雨性はマンゼブとほぼ同等、残効性はマンゼブを上回ったとしています。
技術資料・SDSでは、急性経口LD50(ラット雌)は300mg/kg超2,000mg/kg以下、経皮LD50は2,000mg/kg超、皮膚刺激性なし、眼刺激性は弱い、皮膚感作性は陰性とされています。水産動植物では、コイLC50 198mg/L、ミジンコEC50 522mg/L、藻類EC50 30.7mg/Lです。
境ら(2010)は、ベンチアバリカルブイソプロピルはミツバチ・マルハナバチ・チリカブリダニなどの天敵類にもほとんど影響がなく、公的試験・社内試験で薬害の発生事例はないとしています。
ぶどう・きゅうり・なす・たばこは2000〜3000倍、だいずのべと病は2000〜3000倍、ばれいしょは1500〜2000倍、それ以外は2000倍です。使用液量は、ぶどう200〜700L/10a、たばこ100〜180L/10a、その他は100〜300L/10aです。
きゅうり・トマト・ミニトマト・なすは収穫前日まで、メロン・すいか・かぼちゃは収穫3日前まで、たまねぎ・だいず・ばれいしょは収穫7日前まで、たばこは収穫10日前まで、ねぎ・らっきょうは収穫14日前まで、ぶどうは収穫30日前までです。本剤の使用回数は3回以内が中心で、だいず・たばこは2回以内、ばれいしょは4回以内です。
シモキサニルを含む農薬とベンチアバリカルブイソプロピルを含む農薬で、それぞれ総使用回数が定められています。ベンチアバリカルブイソプロピルはメロン・すいか・ばれいしょが5回以内、なすが4回以内、シモキサニルはねぎが4回以内、だいずが3回以内など、本剤の回数と異なる作物があります。必ず最新の適用表で確認してください。
使用量に合わせて薬液を調製し、速やかに使いきってください。散布液の調製後はできるだけ速やかに散布します。ボルドー液などのアルカリ性農薬との混用は避けてください。散布量は作物の生育段階、栽培形態、散布方法に合わせて調整します。
誤飲・誤食のないよう注意し、誤って飲み込んだ場合は吐き出させて直ちに医師の手当を受けてください。散布の際は農薬用マスク、手袋、長ズボン・長袖の作業衣などを着用し、作業後は直ちに手足・顔などを石けんでよく洗い、うがいをして衣服を交換してください。作業時の衣服は他のものと分けて洗濯します。かぶれやすい体質の人は取扱いに十分注意してください。
密封し、直射日光を避け、食品と区別して、小児の手の届かない冷涼・乾燥した所に保管してください。薬液や薬液タンクの洗浄廃液は放置せず、速やかに安全な場所に処理してください。
普通物に区分されています。
FRACコード27(シモキサニル)とFRACコード40(ベンチアバリカルブイソプロピル)の2成分混合剤です。FRACはいずれも耐性リスクを「Low to Medium」とし、耐性管理が必要としています。
Cohen(2020)は、CAA剤の耐性はブドウべと病菌とキュウリべと病菌の圃場個体群で起きている一方、ジャガイモ疫病菌とレタスべと病菌では起きておらず、ジャガイモ疫病菌での耐性発達リスクは低いと示唆されるとしています。菊原ら(2014)は、欧州でCAA剤の耐性菌が確認されているため、使用ガイドラインを参考に年間の使用回数を2回以内にするよう指導しているとしています。
本剤の登録作物にはぶどう・きゅうりのべと病が含まれるため、同系統の剤(CAA系)を連用しないでください。
Yang et al.(2026)は、中国の9地域のブドウべと病菌170株のうち、21.2%が低度耐性、8.2%が中程度耐性であったとしています(高度耐性はなし)。耐性株の割合が低いのは混合剤として使われることが多いためと推測し、耐性が進んだ地域では混合剤の成分として使うか作用機構の異なる剤とローテーションするよう勧めています。
ブドウべと病菌のシモキサニル耐性は、1990年代に北イタリアで初めて報告され、その後欧州とインドでも報告されています。
ベンチアバリカルブイソプロピルはフェニルアマイド系・ストロビルリン系と交差耐性がないとされ(境ら 2010)、技術資料の試験ではストロビルリン系剤耐性のキュウリべと病菌に高い効果を示しています。べと病・疫病の防除では、FRAC 27・40以外の系統と組み合わせたローテーションを行ってください。
ジャガイモ疫病(ベンチアバリカルブイソプロピル、Miyake et al. 2005):圃場試験(7日間隔で4〜5回散布)で、50・75g a.i./haの処理がマンゼブ(1,600g a.i./ha)と同等の効果を示したとしています。
施設栽培の夏秋キュウリで本剤2000倍を含む7剤を3回散布した試験で、本剤は発病度の防除価が90以上の剤には含まれませんでした。
感染直後で症状が出る前であれば発病を抑えられますが、病斑がはっきり出てからの治療効果は期待しないでください。技術資料のポット試験では、キュウリべと病菌を接種した1日後に散布しても発病をほぼ完全に抑えました。長崎県の試験では、同じ2成分の関連製剤をジャガイモ疫病菌の接種24時間後・48時間後に散布しても高い効果がありましたが、72時間後の散布では効果が低下しました。長崎県は、圃場では予防散布に努めるようすすめています。
予防散布を基本に、地域の防除暦や発生状況に合わせて間隔を決めてください。技術資料の圃場試験では、約1週間間隔で2〜3回散布して最終散布14日後まで発病を低く抑えました。ベンチアバリカルブイソプロピルの開発元は、10〜14日間隔の散布でも防除可能としています。
いいえ、同じ系統の剤を続けて使わず、作用の異なる剤とローテーションしてください。ベンチアバリカルブイソプロピル(FRAC 40)と同じ系統の剤では、ブドウべと病菌やキュウリべと病菌で耐性菌が報告されています。福岡県は、使用ガイドラインを参考に同系統の年間使用回数を2回以内にするよう指導しています。
はい、効きます。技術資料の予防・残効性や浸達性の試験には、ストロビルリン系剤に耐性のキュウリべと病菌が使われ、高い防除効果を示しました。ベンチアバリカルブイソプロピルの開発元は、フェニルアマイド系・ストロビルリン系とは交差耐性がないとしています。
ボルドー液などのアルカリ性農薬との混用は避けてください。散布液は調製後できるだけ速やかに散布し、使用量に合わせて調製して使いきってください。
2つの成分それぞれに総使用回数が決められており、本剤の使用回数と異なる作物があります。たとえばベンチアバリカルブイソプロピルを含む農薬の総使用回数は、メロン・すいか・ばれいしょが5回以内、なすが4回以内、シモキサニルを含む農薬はねぎが4回以内です。作物ごとに最新の適用表で確認してください。
他剤と混ぜるときは、1剤ずつ水に溶いてから次を加えます。乳剤と混ぜる場合は乳剤が先です。少ない水に2剤を同時に入れて練らないでください。
ご使用に際して、製品ラベルに記載された希釈倍率・使用時期・使用回数・収穫前日数を必ず遵守してください。製品ラベルの記載と本ページの記載が異なる場合や薬害や安全使用上の注意などの記載がある場合は、製品ラベルの記載に従ってください。都道府県によってご使用を控えるよう指定されている農薬があるため、お住まいの地域の指針もあわせてご確認ください。河川・水路等への流入および周辺への飛散に注意し、使用後の容器は適切に処理してください。誤って眼または皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流してください。体調に異常が生じた場合は、医師の診断を受けてください。直射日光および高温を避け、小児の手の届かない場所で保管してください。
