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最終確認:2026年10月3日
農薬登録情報:独立行政法人農林水産消費安全技術センター
技術情報:コルテバ・アグリサイエンス日本株式会社技術資料ほか
エクシードフロアブルは、スルホキサフロルを有効成分とする、稲のウンカ類・斑点米カメムシ類に安定した効果を持つIRACコード4Cのスルホキシイミン系殺虫剤です。散布後まもなく害虫の吸汁を止める速効性があり、他系統の剤が効きにくくなったウンカ類にも効果を示し、収穫7日前まで使えます。
害虫の神経で信号を受け取る部分に結合し、神経が興奮したまま元に戻らない状態にします。害虫は体の働きを保てなくなり、汁を吸うのをやめて弱り、死に至ります。
稲のウンカ・カメムシ特効剤
カスミカメ類・クモヘリカメムシ・ホソハリカメムシ・ミナミアオカメムシなど各種の斑点米カメムシ類と、ウンカ類・ツマグロヨコバイに安定した効果を示します。他系統の殺虫剤が効きにくくなったトビイロウンカにも効果を発揮し、ウンカが多発した田んぼでも坪枯れを防いだ試験例があります。
ストレッチ症状で素早く吸汁を止める
散布を受けた害虫は、脚を突っ張ってけいれんする「ストレッチ症状」を起こし、稲から落ちやすくなります。ウンカでは散布後まもなく汁を吸う行動が抑えられ始め、被害をすぐに食い止めます。
収穫7日前まで使え、出穂後の稲穂を守る
稲への影響が少なく収穫7日前まで使えるため、出穂後の稲穂をウンカ類・カメムシ類の被害から守れます。出穂期の散布なら、ウンカと斑点米カメムシをまとめて防除できます。
| 作物 | 適用病害虫雑草 | 希釈倍数・使用量 | 使用時期 | 使用回数 | 使用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| えだまめ適用場所 - | カメムシ類 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| えだまめ適用場所 - | カメムシ類 | 16倍散布液量 0.8L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 無人航空機による散布 |
| だいず適用場所 - | カメムシ類 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 3回以内 | 散布 |
| だいず適用場所 - | カメムシ類 | 16倍散布液量 0.8L/10a | 収穫14日前まで | 3回以内 | 無人航空機による散布 |
| 稲適用場所 - | イナゴ類 | 2000倍散布液量 60~150L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| 稲適用場所 - | ウンカ類 | 2000倍散布液量 60~150L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| 稲適用場所 - | ウンカ類 | 500倍散布液量 25L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| 稲適用場所 - | ウンカ類 | 16倍散布液量 0.8L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 無人航空機による散布 |
| 稲適用場所 - | カメムシ類 | 2000倍散布液量 60~150L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| 稲適用場所 - | カメムシ類 | 500倍散布液量 25L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| 稲適用場所 - | カメムシ類 | 16倍散布液量 0.8L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 無人航空機による散布 |
| 稲適用場所 - | ツマグロヨコバイ | 2000倍散布液量 60~150L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| 稲適用場所 - | ツマグロヨコバイ | 500倍散布液量 25L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 散布 |
| 稲適用場所 - | ツマグロヨコバイ | 16倍散布液量 0.8L/10a | 収穫7日前まで | 3回以内 | 無人航空機による散布 |
| 水田作物、畑作物(休耕田)適用場所 ヨシ、オギ、ススキ、セイタカアワダチソウ等の多年生雑草が優占している休耕田 | カメムシ類 | 2000倍散布液量 60~150L/10a | - | 3回以内 | 散布 |
IRACコード:4C(ニコチン性アセチルコリン受容体〔nAChR〕競合的モジュレーター、スルホキシイミン系)
技術資料によれば、有効成分がシナプス後膜のニコチン性アセチルコリン受容体に結合すると、後膜側の神経細胞に興奮刺激が誘起されて解除されなくなり、害虫は恒常性維持機能が麻痺・消耗して死に至ります。技術資料は、スルホキサフロルを「スルホキシイミン骨格をもつ新規系統の殺虫剤」とし、既存の殺虫剤とは構造が異なり、ユニークな作用性を持つことから、IRACで新設されたグループ4Cに分類されたとしています。
Bacci et al.(2018)は、スルホキサフロルによる[³H]イミダクロプリドの置換は弱く(阻害定数はスルホキサフロル265、イミダクロプリド5.1)、受容体との相互作用の仕方がイミダクロプリド等と異なるとする研究を紹介しています。また、ネオニコチノイドを代謝する酵素CYP6G1がスルホキサフロルを代謝できないことが、ネオニコチノイド抵抗性の害虫にも効く理由の一つとしています。
Lu et al.(2022)は、ショウジョウバエの受容体サブユニット変異系統を用いた試験から、スルホキサフロルは主にα3とβ1サブユニットを含む受容体サブタイプに作用すると推定しています。
技術資料は、本剤が処理された多くの害虫で、処理後間もなく脚が伸び、硬直して痙攣する症状が見られるとし、これを「ストレッチ症状」と呼んでいます。この症状を起こした個体は作物から落下しやすくなります。トビイロウンカとクモヘリカメムシでの事例が紹介されています。Lu et al.(2022)も、この系統の殺虫剤にさらされた昆虫の初期症状として、けいれん、脚の伸展、震えなどを挙げています。
Kang et al.(2022、韓国、スルホキサフロル7%SC)は、亜致死濃度(LC10・LC30)のスルホキサフロルで処理したトビイロウンカ・セジロウンカで、口針が植物に入っていない時間が対照より長くなり(トビイロウンカで対照52.73分に対し226.93〜235.57分、セジロウンカで対照45.18分に対し134.02〜252.14分)、師部からの吸汁時間が短くなったとしています。同じ処理で、成虫寿命と産卵数も対照より減少しました(室内試験)。
スルホキサフロルは、ダウ・アグロサイエンス(現コルテバ・アグリサイエンス)が開発した殺虫成分で、世界共通の商標「イソクラスト™」の名でも呼ばれます。国内では2010年から試験コード「DAI-1004」で公的試験が始まり、2017年12月25日に登録されました。商品名の「エクシード(EXCEED™)」には「越える」「上回る」の意味があり、より良い害虫防除を目指す想いが込められています。2022年8月にだいず・えだまめのカメムシ類への適用が追加されました。
スルホキサフロル(分子式C10H10F3N3OS)。製剤は淡褐色水和性粘稠懸濁液体(フロアブル)で、毒物及び劇物、消防法には該当しません。有効年限は3年です。本剤2000倍のスルホキサフロル濃度は100ppmです。
北興化学工業の室内試験(2014年)では、本剤2000倍を散布した稲(5.5葉期)にトビイロウンカ成虫を放すと、処理後約30分〜1時間で異常虫が出始め、処理8時間後には全個体で異常症状または死亡が確認され、24時間後の死虫率は100%でした。技術資料は、散布後約30分〜1時間でウンカの吸汁行動を抑制し始めるとしています。
北野(2025)は、滋賀県南部で採集したイネカメムシ越冬世代成虫(3個体群)を、スルホキサフロル20.0%水和剤2000倍(100ppm)に浸漬した試験で、処理24時間後の補正死虫率の推定値が全個体群で90%を超えたとしています(雌雄差なし)。著者は、越冬世代成虫に即効的な殺虫効果を持ち、不稔被害の抑制に有効と考えられるとしています。
北興化学工業の室内試験(2014年)では、稲に本剤相当濃度(100ppm)を散布し7日ごとにトビイロウンカ1齢幼虫を放した結果、散布当日から21日後まで補正異常+死虫率は100%でした。技術資料は、現地条件でも14日程度は十分な残効を示すと考えられるとしています。一方、岩手県農業研究センター(中野 2020、研究レポートNo.1008)のポット試験(穂揃期7日後に2000倍散布)では、補正死虫率は散布翌日・7日後・14日後で、アカスジカスミカメ87.2%・16.3%・8.6%、アカヒゲホソミドリカスミカメ80.8%・58.8%・17.9%でした。
技術資料は、2009年に福岡で採取したトビイロウンカの抵抗性系統に対するスルホキサフロルの抵抗性比が1.5であったとし(Babcock et al.)、既存剤抵抗性の害虫に交差抵抗性を示さないとしています(2022年11月時点)。
技術資料では、急性経口・経皮LD50(ラット)は2,000 mg/kg超、皮膚刺激性なし、眼刺激性は軽度、皮膚感作性なしとされています。水産動植物では、コイLC50、オオミジンコEC50、緑藻ErC50がいずれも1,000 mg/L超で、製品ラベルの安全使用上の注意に水産動植物に関する注意事項の記載はありません。
水田のクモ類では、キクヅキコモリグモ(成虫・幼虫)への直接散布で影響なしとされています。
稲は2000倍(60〜150L/10a)、少量散布500倍(25L/10a)、無人航空機による散布16倍(0.8L/10a)です。イナゴ類は2000倍のみの登録です。だいず・えだまめは2000倍(100〜300L/10a)または無人航空機による散布16倍(0.8L/10a)、休耕田は2000倍(60〜150L/10a)です。
稲は収穫7日前まで3回以内、だいずは収穫14日前まで3回以内、えだまめは収穫前日まで2回以内、休耕田は3回以内です。スルホキサフロルを含む農薬の総使用回数も同じです。必ず最新の適用表で確認してください。
稲に500倍で散布する場合は、乗用型の速度連動式地上液剤少量散布装置を使用してください。
散布は各散布機種の散布基準に従い、散布機種に適合した散布装置を使用してください。散布中に薬液が漏れないよう、機体の散布配管などを十分に点検してください。薬液の飛散で動植物や自動車の塗装などに被害を与えるおそれがあるため、散布区域内の諸物件に十分注意してください。
使用前に容器をよく振り、所要量を所定量の水にうすめてよくかき混ぜてから散布してください。使用量に合わせて薬液を調製し、使いきってください。
ミツバチに影響があるため、巣箱やその周辺に飛散するおそれがある場合は使用しないでください。関係機関(都道府県の農薬指導部局や地域の農業団体等)に周辺での養蜂の有無を確認し、養蜂が行われている場合は農薬使用に係る情報を提供してください。秋田県の資料は、メーカー資料からの引用として、本剤のミツバチへの影響がなくなる日数を散布10日後(暫定)としています。蚕にも影響があるため、周辺の桑葉にかからないようにしてください。
眼に対して弱い刺激性があるため、眼に入らないよう注意し、入った場合は直ちに水洗してください。散布の際は農薬用マスク、手袋、長ズボン・長袖の作業衣などを着用し、作業後は手足・顔などを石けんでよく洗い、洗眼・うがいをしてください。
直射日光を避け、なるべく低温な場所に密栓して保管してください。散布器具や容器の洗浄水は河川等に流さず、空容器は3回以上水洗して適切に処理してください。
普通物に区分されています。
IRACコード4C(スルホキシイミン系)の殺虫剤です。技術資料(2022年11月時点)は、既存の殺虫剤との交差抵抗性は現在のところ確認されていないとしていますが、同じグループ4にはネオニコチノイド系(4A)が含まれます。稲の防除では、ネオニコチノイド系の箱施用剤や本田散布剤と連続して使わず、グループ4以外の系統と組み合わせた体系防除・ローテーションを行ってください。
論文では、中国のセジロウンカ圃場個体群(2019〜2020年、18個体群)で、スルホキサフロルに対して中程度の抵抗性(抵抗性比最大32.26)を示す個体群が多く見られ、スルホキサフロルの効きにくさがネオニコチノイド系を含む6剤の効きにくさと相関していたとする報告があります(Li et al. 2021)。
著者はセジロウンカの防除にスルホキサフロルを慎重に使うよう勧めています。また、アブラムシ類で見つかった受容体の変異(β1サブユニットのR81T)と同じ変異を導入したショウジョウバエで、スルホキサフロルにも抵抗性が生じた例があります(Lu et al. 2022)。いずれも国外・別種での結果ですが、抵抗性の発達を防ぐため、系統の異なる剤との組み合わせが重要です。
秋田県は、既存剤の連年使用による薬剤抵抗性発達のリスクから、系統の異なる有効な防除薬剤を拡充することを本剤導入のねらいとしています。
カメムシの種類による殺虫効果の違い(重久 2020、滋賀県、室内散布試験、2000倍):補正死虫率(24時間後/72時間後)は、アカスジカスミカメ100%/100%、アカヒゲホソミドリカスミカメ96.7%/100%、ホソハリカメムシ31.0%/82.8%、クモヘリカメムシ26.7%/73.3%、トゲシラホシカメムシ13.3%/46.7%でした。
著者は、大型カメムシ類には遅効的であるものの、散布後の生存虫が苗上に留まらなかったことから、作物からの落下により吸汁が妨げられ、圃場では斑点米率を下げる効果があるかもしれないとしています。
トビイロウンカ(2011年、日本植物防疫協会宮崎試験場、乳熟期散布)、セジロウンカ(2011年、同、分げつ期散布)、ヒメトビウンカ(2010年、岐阜県植物防疫協会)、ツマグロヨコバイ(2011年、富山県農林水産総合技術センター)の各試験で、処理前を100とした補正密度指数は散布後2〜3日で大きく下がり、散布14日後前後まで低い水準で推移しました。
秋田県農業試験場の圃場試験(2018年)でも、セジロウンカ・ヒメトビウンカの虫数は散布4日後から12日後まで無処理区より少なく推移しました。
トビイロウンカの坪枯れ抑制(2020年、佐賀県農業試験研究センター、甚発生、育苗箱施用剤なし):本剤2000倍区の成幼虫数は散布後も無処理区より少なく推移し、坪枯れによる枯死は3反復すべてで認められませんでした。無処理区では2反復で50%以上の枯死が見られました。
トビイロウンカは国内で越冬できず、多発すると「坪枯れ」を起こします。セジロウンカはイネ南方黒すじ萎縮病を媒介し、ヒメトビウンカはイネ縞葉枯病・イネ黒すじ萎縮病を媒介し国内でも越冬できます。
出穂期と、その7〜10日後の散布が効果的です。技術資料によれば、斑点米カメムシ類は出穂期に合わせて水田に飛来します。クモヘリカメムシやホソハリカメムシなどの大型カメムシは黄熟期まで加害するため、発生が見られる場合は追加防除が効果的とされています。散布時期は地域の防除基準や病害虫防除所の予察情報もあわせて確認してください。
幼虫のふ化がそろった時期の散布が最も効果的です。技術資料は、出穂前であれば稲が繁茂していないため株元に薬剤が付きやすく、効果がより安定するとしています。第1世代の防除は箱施用剤の効果と持続性を考慮し、箱施用剤と組み合わせた地域の防除体系に従ってください。飛来時期によって防除適期が変わるため、病害虫防除所の予察情報に注意してください。
ウンカ類ではおよそ2週間、カスミカメ類ではそれより短めです。技術資料は、ウンカ類に散布後約14日間の残効が期待できるとしています。一方、岩手県の試験では、カスミカメ類への効果は散布後7日から14日の間に大きく下がり、14日後には切れていると考えられるとしています。岩手県は、本剤を穂揃期1週間後に散布した田で追加防除をする場合、その1週間後(穂揃期2週間後)に行うようすすめています。
斑点米の抑制効果は各種のカメムシで確認されていますが、殺虫の速さは種類によって差があります。滋賀県の室内試験では、カスミカメ類2種には散布24時間後にほぼすべてが死亡した一方、ホソハリカメムシ・クモヘリカメムシでは効き方が遅く、トゲシラホシカメムシへの殺虫効果は低めでした。イネカメムシの越冬成虫では、処理24時間後に9割以上が死亡した試験があります。
死虫率がそれほど高くなくても、稲から落ちて吸汁が妨げられることで斑点米が抑えられた可能性が指摘されています。
はい、できます。稲のウンカ類・ツマグロヨコバイ・カメムシ類、だいず・えだまめのカメムシ類に、無人航空機による散布(16倍、0.8L/10a)の登録があります。散布は機種ごとの散布基準に従い、機種に適合した散布装置を使ってください。稲では少量散布(500倍、25L/10a)の登録もあり、この場合は乗用型の速度連動式地上液剤少量散布装置を使います。
はい、だいず・えだまめのカメムシ類と、休耕田のカメムシ類に使えます。だいず・えだまめへの適用は令和4年8月に追加されました。だいずは収穫14日前まで3回以内、えだまめは収穫前日まで2回以内です。休耕田は、ヨシ・オギ・ススキ・セイタカアワダチソウなどの多年生雑草が優占している休耕田のカメムシ類が対象です。
はい、影響があります。ミツバチの巣箱やその周辺に飛散するおそれがある場合は使用しないでください。周辺で養蜂が行われているかを関係機関に確認し、行われている場合は農薬の使用情報を提供してください。蚕にも影響があるため、周辺の桑の葉にかからないようにしてください。
他剤と混ぜるときは、1剤ずつ水に溶いてから次を加えます。乳剤と混ぜる場合は乳剤が先です。少ない水に2剤を同時に入れて練らないでください。
ご使用に際して、製品ラベルに記載された希釈倍率・使用時期・使用回数・収穫前日数を必ず遵守してください。製品ラベルの記載と本ページの記載が異なる場合や薬害や安全使用上の注意などの記載がある場合は、製品ラベルの記載に従ってください。都道府県によってご使用を控えるよう指定されている農薬があるため、お住まいの地域の指針もあわせてご確認ください。河川・水路等への流入および周辺への飛散に注意し、使用後の容器は適切に処理してください。誤って眼または皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流してください。体調に異常が生じた場合は、医師の診断を受けてください。直射日光および高温を避け、小児の手の届かない場所で保管してください。
