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最終確認:2026年10月3日
農薬登録情報:独立行政法人農林水産消費安全技術センター
技術情報:OATアグリオ株式会社技術資料ほか
ショウチノスケフロアブルは、フルチアニルとメパニピリムを有効成分とする、うどんこ病に高い効果を持つFRACコードU13+9の2成分混合殺菌剤です。予防効果に加えて病斑の拡大と二次感染を止め、葉の裏から表へ届く浸達性と長い残効性を持ち、きゅうり・なす・トマト・いちご等の灰色かび病にも登録があります。
フルチアニルは、うどんこ病菌が植物から栄養を吸い取るための器官をつくらせず、栄養の吸収も断ちます。栄養を断たれた菌は病斑を広げることも、新しい胞子をつくって飛ばすこともできなくなります。メパニピリムは、菌が植物の表面を溶かして侵入するための酵素を外に出せなくし、発芽管の伸長や付着器の形成を抑えて侵入を防ぎます。
2成分混合のうどんこ病特効剤
効き方の異なる2つの成分を組み合わせることで、きゅうり・メロン・すいか・かぼちゃ・なす・トマト・ピーマン・いちご、花きや樹木など、各作物のうどんこ病に高い効果を発揮します。2成分の相乗効果により、既存の薬剤が効きにくくなったうどんこ病菌にも安定した効果が確認されています。
デュアルカットオフ効果で予防にも治療にも
菌が栄養を吸い取る器官づくりと栄養の吸収の両方を断つ「デュアルカットオフ効果」で、感染を防ぐだけでなく、感染してしまった菌も弱らせます。発病後に散布しても病斑の拡大と新しい胞子の形成・飛散を止め、病気の広がりを食い止めます。
葉の裏から表まで届き、効果が長く続く
葉の裏に散布しても葉の表の病気を防ぐ浸達性があり、葉の表裏のうどんこ病を抑えます。効果が長く続くため、1シーズンのうどんこ病の防除回数を減らすことが期待できます。
| 作物 | 適用病害虫雑草 | 希釈倍数・使用量 | 使用時期 | 使用回数 | 使用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| いちご | うどんこ病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| いちご | 灰色かび病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| かぼちゃ | うどんこ病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| かぼちゃ | うどんこ病 | 32倍散布液量 1.6L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 無人航空機による散布 |
| きゅうり | うどんこ病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| きゅうり | うどんこ病 | 66倍散布液量 10L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 常温煙霧 |
| きゅうり | 灰色かび病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| すいか | うどんこ病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| トマト | うどんこ病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| トマト | 灰色かび病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| なす | うどんこ病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| なす | うどんこ病 | 66倍散布液量 10L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 常温煙霧 |
| なす | 灰色かび病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| パセリ | うどんこ病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 散布 |
| ピーマン | うどんこ病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| ミニトマト | うどんこ病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| ミニトマト | 灰色かび病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| メロン | うどんこ病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| 花き類・観葉植物 | うどんこ病 | 2000倍散布液量 100~300L/10a | 発病前~発病初期 | 2回以内 | 散布 |
| 樹木類 | うどんこ病 | 2000倍散布液量 200~700L/10a | 発病前~発病初期 | 2回以内 | 散布 |
FRACコード:U13(シアノメチレンチアゾリジン系、細胞膜の破壊〔提唱〕)+9(アニリノピリミジン系、メチオニン生合成〔提唱〕)
FRACは作用機構を「細胞膜の破壊が提唱されている」とし、うどんこ病菌での耐性の記載があり耐性管理が必要としています。技術資料は、フルチアニルは吸器形成阻害と吸器からの栄養吸収阻害によって菌体への栄養供給を遮断する「デュアルカットオフ効果®」を持つとしています。Kimura et al.(2020)のオオムギうどんこ病菌での観察では、フルチアニルは分生子の発芽や付着器形成をほとんど阻害せず、吸器の形成を強く阻害しました(1・10 mg/Lで吸器形成率3%・9%)。
著者らは、フルチアニルは菌体を崩壊させる殺菌的な作用ではなく、静菌的な作用としています。Kimura et al.(2021)は、フルチアニル処理で吸器の外側の構造と細胞壁が不明瞭になり、吸器に特異的な糖輸送体遺伝子の発現が上がったことから、主な作用部位は吸器にあるかもしれないとしています。
FRACはアニリノピリミジン系をメチオニン生合成の阻害(提唱)に分類し、耐性リスクを「中程度」としています。技術資料は、メパニピリムの作用として、アミノ酸やグルコース等の栄養源の取り込み阻害と、病原菌が植物表層を分解する酵素(クチナーゼ、ペクチナーゼ、セルラーゼ等)の菌体外への分泌阻害を挙げ、これらにより病原菌の植物組織への侵入を強く阻害すると考えられるとしています。
Miura & Maeno(2007a)は、灰色かび病菌のペクチナーゼ分泌を0.1〜1 µg/mLで阻害し、栄養の取り込み阻害は10〜100 µg/mLの高濃度での非特異的な作用であるとしています。
技術資料は、うどんこ病に対して作用点の異なる2つの成分を組み合わせることで、耐性菌の発達リスクを抑えるとしています。OATアグリオ研究所のディスク試験(2018年、フルチアニル低感受性きゅうりうどんこ病菌)では、防除価はフルチアニル9 ppmで4、メパニピリム100 ppmで16、2成分を混ぜた本剤(フルチアニル9 ppm+メパニピリム100 ppm)で100(コルビーの式による期待値20)となり、技術資料は相乗効果を発揮するとしています。
本剤は、OATアグリオが創出したフルチアニルと、クミアイ化学工業が有するメパニピリムを有効成分とする混合剤で、2012年から試験名「OAT-0441SC」で委託試験が行われ、2014年12月3日に登録されました。フルチアニルはシアノメチレンチアゾリジン系の化合物で、国内では2013年に単剤が登録されています。
メパニピリムはクミアイ化学工業とイハラケミカル工業が共同で発明したアニリノピリミジン系の化合物で、ベンズイミダゾール系・ジカルボキシイミド系の耐性灰色かび病菌の出現を背景に開発され、1995年に登録されました。
メパニピリムは分子式C14H13N3、分子量223.28、融点132.8℃、log Pow 3.28(20℃)。製剤は類白色水和性粘稠懸濁液体(フロアブル)です。
成分単独では、Kimura et al.(2020)のフルチアニル10 mg/Lのポット試験で、散布14日後の接種や人工降雨の後でも防除価100でした。葉の片面に塗布して反対側の面に接種すると防除価90〜100でしたが、土壌処理では0で、植物全体への移行はしないとされています。
技術資料の観察では、接種7日後のきゅうりに散布すると、散布7日後の病斑で分生子がチューブ状に奇形化していました。Kimura et al.(2020)のフルチアニルの試験では、接種1日後の散布で防除価100、発病後(接種5〜14日後)の散布では防除価50〜10に下がったものの、異常な分生子柄が形成され、二次感染は見られませんでした。
著者らは、発病後の治療的な使用は耐性菌の選抜を早める可能性があるとし、予防的または発病のごく初期の使用をすすめています。
Yamauchi et al.(2025)は、メロンうどんこ病菌の単一コロニーにショウチノスケ(フルチアニル9+メパニピリム100 µg/mL)を散布した室内試験で、飛散した分生子は0個(水道水2010個)、正常な分生子柄は0%だったとしています。Takahara et al.(2024)のイチゴうどんこ病菌の同様の試験では、同じ組み合わせでコロニー面積が水道水の約4分の1に抑えられ、飛散分生子は0個でした。
OATアグリオ研究所のディスク試験(2017年)では、既存剤に感受性が低下したきゅうり(2菌株)、メロン、いちごのうどんこ病菌に対し、本剤2000倍の防除価はいずれも100でした。
技術資料は、通常濃度でいちご30品種、きゅうり28品種、なす16品種、トマト4品種、メロン・すいか・かぼちゃ各3品種、花き(バーベナ、ばら)7品種で薬害は確認されなかったとしています。
技術資料(製剤)では、急性経口・経皮LD50(ラット)は2,000 mg/kg超、皮膚に軽度の刺激性、眼刺激性なし、皮膚感作性なしです。水産動植物は、ヒメダカLC50 160 mg/L(96時間)、オオミジンコEC50 0.61 mg/L(48時間)、藻類ErC50 18.0 mg/L(72時間)とされています。
SDSの製品のGHS分類は、発がん性区分2(メパニピリムによる)、特定標的臓器毒性区分2、水生環境有害性(短期区分1・長期区分1)です。
散布は全作物で2000倍(使用液量100〜300L/10a、樹木類は200〜700L/10a)です。常温煙霧(きゅうり・なす)は66倍・10L/10a、無人航空機散布(かぼちゃ)は32倍・1.6L/10aです。使用時期は多くの作物で収穫前日まで、パセリは収穫7日前まで、花き類・観葉植物・樹木類は発病前〜発病初期です。
本剤とフルチアニルを含む農薬の総使用回数は全作物で2回以内、メパニピリムを含む農薬の総使用回数はパセリ2回、いちご3回、花き類・観葉植物・樹木類5回、その他4回以内です。
浸透移行性がないため、かけ残しのないよう葉の裏表に十分に散布してください。うどんこ病は発病前〜発病初期の早めの散布がすすめられています。
直接の付着を避け、夕方に作業し、6時間以上密閉してください。処理中はハウス内に立ち入らないでください。
散布中および散布当日は、小児や関係のない人が散布区域に立ち入らないよう、縄囲いや立て札で配慮してください。
本剤2000倍で、カブリダニ類3種、タイリクヒメハナカメムシ、セイヨウミツバチ、クロマルハナバチへの影響はないとされています。
散布器具・容器の洗浄水は河川等に流さず、空容器は水産動植物に影響を与えないよう適切に処理してください。
皮膚に弱い刺激性があるため、皮膚に付着しないよう注意し、付着した場合は直ちに石けんでよく洗い落としてください。
普通物に区分されています。
FRACコードU13(フルチアニル)と9(メパニピリム)の2成分混合剤です。技術資料は、うどんこ病は最も耐性菌が発達しやすい病害の一つであるとし、系統の異なる殺菌剤とのローテーション防除をすすめています。技術資料のローテーション防除例(いちご・きゅうり)では、本剤は1作に1回の配置です。
FRACはうどんこ病菌での耐性の記載があるとしています。茨城県農業総合センター園芸研究所(平成29年度)は、2016〜2017年に県内のきゅうり圃場15か所中14か所でフルチアニルの耐性菌を検出し、FRACコードまたは系統の異なる剤でのローテーション散布をすすめています。同じ調査で、フルチアニル乳剤の効果が低い複合耐性菌株に対しても、メパニピリム水和剤の予防効果は高かったとされています(単剤どうしの結果)。
FRACは耐性リスクを「中程度」とし、灰色かび病菌で耐性が知られているとしています。鈴木ら(2011a)は三重県のナスで国内初のメパニピリム耐性灰色かび病菌を報告し、アニリノピリミジン系の剤の間では交差耐性が報告されているとしています。栃木県農業総合研究センター(2025)は、県内のイチゴ灰色かび病菌で3 ppmで生育する感受性低下菌の割合が2024年に48%だったとしています。
灰色かび病の防除では、本剤に頼らず、系統の異なる剤とローテーションしてください。
技術資料には、うどんこ病12試験(いちご2、トマト2、きゅうり2、なす2、メロン、ばら、すいか、かぼちゃ各1)が掲載されています。
いちご(2014年、奈良県、少発生)で本剤0%、無処理3.2%、トマト(2017年、高知、中発生)で本剤2.7%、無処理15.6%、きゅうり(2012年、多発生)で本剤13.6%、無処理48.7%、なす(2013年、宮崎、中発生)で本剤0.8%、無処理10.4%でした。
本剤はピーマンのうどんこ病に登録がありますが、技術資料に本剤のピーマンでの試験成績は掲載されていません。宮本ら(2020)は、メパニピリム水和剤単剤(2000倍)のピーマンうどんこ病(気孔から侵入する内部寄生性の菌)に対する予防効果は不安定で、治療効果はほとんど得られなかったとしています(フルチアニルを含む本剤の試験ではありません)。
効いている可能性があります。本剤は菌糸や胞子を直接壊すのではなく、栄養の吸収を断って病斑の拡大と胞子の形成・飛散を止めるため、発病後に散布すると病斑が残ることがあります。その後、病気が広がることはないとされています。技術資料は、発病前〜発病初期の早めの散布をすすめています。
いいえ、植物体への浸透移行性はありません。葉の裏から表へ届く浸達性はありますが、散布していない葉や新しく出た葉には移りません。かけ残しのないよう、葉の裏表に十分に散布してください。
はい、きゅうり・なす・トマト・ミニトマト・いちごの灰色かび病に登録があります。ただし本剤はうどんこ病を主な対象とした薬剤で、技術資料は、灰色かび病の防除には他剤とのローテーションで使うようすすめています。灰色かび病に効くのはメパニピリムの作用によるもので、メパニピリムに感受性が低下した灰色かび病菌も各地で見つかっています。
技術資料の試験では効果が確認されています。フルチアニルが効きにくいきゅうりうどんこ病菌に対し、フルチアニル単独の防除価は4、メパニピリム(同じ濃度)単独は16でしたが、2成分を混ぜた本剤では100でした(2018年、OATアグリオ研究所)。一方、茨城県のきゅうり圃場(2016〜2017年)では15圃場中14圃場でフルチアニルの耐性菌が検出されています。使用回数を守り、系統の異なる薬剤とローテーションで使ってください。
本剤は全作物で2回以内です。フルチアニルを含む農薬の総使用回数も2回以内です。メパニピリムを含む農薬の総使用回数は、パセリ2回、いちご3回、花き類・観葉植物・樹木類5回、その他の作物4回以内です。
影響は小さいとされています。技術資料では、本剤2000倍で、チリカブリダニ・ミヤコカブリダニ・スワルスキーカブリダニ、タイリクヒメハナカメムシ、セイヨウミツバチ、クロマルハナバチのいずれも「影響なし」(死亡率30%以下)でした。天敵を利用するIPM体系にも組み込めます。
はい、きゅうり・なすのうどんこ病に常温煙霧(66倍、10L/10a)、かぼちゃのうどんこ病に無人航空機(ドローン)散布(32倍、1.6L/10a)の登録があります。常温煙霧は、直接の付着を避けて夕方に行い、6時間以上密閉してください。
他剤と混ぜるときは、1剤ずつ水に溶いてから次を加えます。乳剤と混ぜる場合は乳剤が先です。少ない水に2剤を同時に入れて練らないでください。
ご使用に際して、製品ラベルに記載された希釈倍率・使用時期・使用回数・収穫前日数を必ず遵守してください。製品ラベルの記載と本ページの記載が異なる場合や薬害や安全使用上の注意などの記載がある場合は、製品ラベルの記載に従ってください。都道府県によってご使用を控えるよう指定されている農薬があるため、お住まいの地域の指針もあわせてご確認ください。河川・水路等への流入および周辺への飛散に注意し、使用後の容器は適切に処理してください。誤って眼または皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流してください。体調に異常が生じた場合は、医師の診断を受けてください。直射日光および高温を避け、小児の手の届かない場所で保管してください。
