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最終確認:2026年10月3日
農薬登録情報:独立行政法人農林水産消費安全技術センター
技術情報:コルテバ・アグリサイエンス日本株式会社技術資料ほか
ゾーベックエンテクタSEは、アミスルブロムとオキサチアピプロリンを有効成分とする、べと病・疫病に高い効果を持つFRACコード21+49の2成分混合殺菌剤です。葉の表から裏へ届く浸達性と、新しく展開した葉まで守る浸透移行性を持ち、オキサチアピプロリンは既存の殺菌成分と交差耐性のない独自の作用点を持っています。
アミスルブロムは、病原菌のエネルギーづくりを止めて、胞子が泳ぎ出して発芽するのを防ぎます。葉の表面のワックス層にとどまり、雨にも流されにくく予防的に効きます。オキサチアピプロリンは、菌の細胞膜の維持や物質の輸送に欠かせないタンパク質の働きを止め、ごく少ない量で胞子の発芽や菌糸の伸長、新しい胞子づくりを防ぎます。植物の中を移動して、葉の裏や新しい葉まで守ります。
2成分混合、べと病・疫病特効剤の新定番
作用の異なる2つの成分が、病原菌の胞子の放出・発芽から、侵入後の菌糸の伸長、新しい胞子の形成まで、生活環のさまざまな段階を阻害します。ばれいしょ・トマト・ミニトマトの疫病、キャベツ・ねぎ・たまねぎ・はくさい・ブロッコリー・レタス・ほうれんそう・きゅうり・メロンなどのべと病に高い効果を発揮します。
浸達性と浸透移行性で新しい葉まで守る
葉の表に散布した成分が葉の裏まで届き、葉裏から侵入する病原菌も防ぎます。オキサチアピプロリンは植物の中を上へ移るため、散布後に新しく展開した上の葉でも効果を発揮します。
独自の作用点で、既存剤と交差耐性なし
オキサチアピプロリン(FRACコード49)は、病原菌のオキシステロール結合タンパク質に作用する独自の作用点を持ち、既存の殺菌成分との交差耐性はないとされています。作用の異なるアミスルブロムと組み合わせることで、耐性菌の発達を抑える設計です。
| 作物 | 適用病害虫雑草 | 希釈倍数・使用量 | 使用時期 | 使用回数 | 使用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| キャベツ | べと病 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 散布 |
| きゅうり | べと病 | 4000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| たまねぎ | べと病 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 散布 |
| たまねぎ | べと病 | 25倍散布液量 1.6L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 無人航空機による散布 |
| トマト | 疫病 | 4000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| ねぎ | べと病 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 散布 |
| はくさい | べと病 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 散布 |
| ばれいしょ | 疫病 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫14日前まで | 3回以内 | 散布 |
| ばれいしょ | 疫病 | 750倍散布液量 25L/10a | 収穫14日前まで | 3回以内 | 散布 |
| ばれいしょ | 疫病 | 80倍散布液量 3.2L/10a | 収穫14日前まで | 3回以内 | 無人航空機による散布 |
| ばれいしょ | 疫病 | 40倍散布液量 1.6L/10a | 収穫14日前まで | 3回以内 | 無人航空機による散布 |
| ブロッコリー | べと病 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 散布 |
| ほうれんそう | べと病 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫7日前まで | 2回以内 | 散布 |
| ミニトマト | 疫病 | 4000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| メロン | べと病 | 4000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫前日まで | 2回以内 | 散布 |
| レタス | べと病 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫3日前まで | 2回以内 | 散布 |
| 非結球レタス | べと病 | 3000倍散布液量 100~300L/10a | 収穫3日前まで | 2回以内 | 散布 |
FRACコード:21(QiI、複合体III・Qi部位阻害)+49(OSBPI、オキシステロール結合タンパク質阻害)
FRACでは、QiI殺菌剤(複合体III:Qi部位、スルファモイルトリアゾール系)に分類され、耐性リスクは「不明だが中〜高と想定」とされています。卵菌類のミトコンドリアの電子伝達系で複合体IIIを阻害し、シトクロムbのQi部位に結合すると考えられています。技術資料は、べと病・疫病に対して特異的に効果を示す予防殺菌剤で、2008年の国内登録・上市以来、耐性菌の報告はないとしています。
アミスルブロムは、特に遊走子のう・遊走子に対する効果が高い剤です。ばれいしょ疫病菌を用いたFörch et al.(2007)の試験では、EC50が遊走子の放出で0.016 ppm、遊走子の運動で0.0002 ppm、被のう胞子の発芽で0.061 ppmでした。きゅうりべと病菌では、遊走子のう発芽阻害のMICが0.01〜0.1 ppm、遊走子遊泳阻害のMICが0.001〜0.01 ppmでした(本田・若山 2008)。
同じ試験で、ストロビルリン系殺菌剤のMICは、岐阜県・福島県の分離株で100 ppm超、研究所保有菌で0.01 ppmでした。アミスルブロムは植物体での浸透移行性を持たず、根からも吸収されないとされています。
FRACでは、OSBPI殺菌剤(脂質の恒常性・輸送/貯蔵)に分類され、耐性リスクは「中〜高と想定」され、耐性管理が必要とされています。病原菌のオキシステロール結合タンパク質(OSBP)に結合し、技術資料によれば、細胞の活動に重要なシグナル伝達、細胞膜の維持、脂質複合体の形成ができなくなります。技術資料は、既存殺菌成分との交差耐性はないとしています。
Cohen(2015)のきゅうりべと病菌の試験では、0.001 mg/Lに15分さらしただけで遊走子の放出が完全に止まり、被のう胞子の発芽は0.0001 mg/Lで0%でした。運動中の遊走子への影響は弱いとされています。著者は、オキサチアピプロリンが標的にすばやく不可逆的に結合する可能性があるとしています。なお、オキサチアピプロリンはピシウム属菌には効かないとされています。
技術資料は、ばれいしょ疫病菌の生活環への作用を次のように整理しています。
アミスルブロムは1999年に日産化学工業で発見され、開発番号NC-224として開発されました。国内では2008年4月にアミスルブロム17.7%のフロアブルとして登録されています。オキサチアピプロリンはDuPont社で発見・開発されたピペリジニルチアゾールイソキサゾリン系の殺菌成分です。技術資料によれば、本剤は、べと病・疫病に安定した効果を示すアミスルブロムとオキサチアピプロリンを混合することで耐性菌の発達を抑え、オキサチアピプロリン混合剤の新しい選択肢となることを目指して開発され、2023年1月25日に農薬登録されました。
製剤は類白色水和性粘稠懸濁液体(SE製剤)です。
2021年の日産化学生物科学研究所の試験(ばれいしょ〈男爵〉)では、小葉に筆で薬剤を処理し、翌日に裏面に疫病菌を接種したところ、平均発病面積は本剤3000倍で0%、D剤1500倍で4%、E剤800倍で7%、無処理で91%でした。Cohen(2015)では、オキサチアピプロリンを葉の片面に散布し反対側の面に接種した試験で、0.001〜1 mg/Lでは完全に防除されました。
2021年の同研究所の試験(ばれいしょ〈男爵〉)では、実用濃度で全体散布し、14日後に疫病菌を接種して上位4葉の発病面積を調べました。実用濃度では本剤3000倍で0%、D剤1500倍で15%、E剤800倍で35%、無処理で100%で、1/4濃度でも本剤は0.5%でした。2015年の丸和バイオケミカルの試験では、上位葉を袋で覆って下位葉だけにオキサチアピプロリン20 ppmを散布したところ、覆っていた上位葉の発病面積率は0〜2.6%(無処理5.8〜18.6%)でした。
Cohen & Weitman(2023)は、トマトでオキサチアピプロリンが根から地上部へ上向きに移るだけでなく、地上部から根へ下向きにも移ることを示しています。一方、Cohen et al.(2018)は、トマトで100 ppmを散布して17日後に接種した試験では新しく伸びた上の5葉の防護は低かったものの、10 ppmを散布して8日後に接種した試験では新しい5葉の防護率が82%だったとしており、効果の程度は濃度・散布からの日数によって異なります。
アミスルブロムは、感染後に散布しても罹病葉で健全な遊走子のうの形成を阻害し、感染能力のある遊走子の放出を強く抑えるとされています。ばれいしょで接種4日後に散布した試験では、遊走子の放出率は100 ppmで20.0%、無処理で80.5%でした(Honda et al. 2009)。オキサチアピプロリンも、きゅうりべと病の発病葉に散布すると胞子形成を強く抑え、網室で発病株に3 mg/Lを散布すると翌日の胞子形成指数は2.75から0.08に下がりました(Cohen 2015)。
トマト果実に散布した試験(2021年)では、SE製剤である本剤は果面への汚れの付着が少ないとされています。
製品の急性経口LD50(ラット)・急性経皮LD50(ラット)はいずれも5,000 mg/kg超、吸入LC50は5.2 mg/L超で、皮膚刺激・眼刺激・皮膚感作性はなしとされています。製品のGHS分類は、発がん性区分2、水生環境有害性(急性区分2、長期区分1)です。ミツバチの経口LD50は262 μg/bee超、接触LD50は250 μg/bee超です。
ばれいしょ・葉菜類・ねぎ・たまねぎは3000倍、きゅうり・メロン・トマト・ミニトマトは4000倍で、使用液量は100〜300L/10aです。使用時期は、ばれいしょが収穫14日前まで、キャベツ・ねぎ・たまねぎ・はくさい・ブロッコリー・ほうれんそうが収穫7日前まで、レタス・非結球レタスが収穫3日前まで、きゅうり・メロン・トマト・ミニトマトが収穫前日までです。
本剤の使用回数は、ばれいしょが3回以内、その他は2回以内です。アミスルブロムを含む農薬の総使用回数は作物ごとに2〜8回と異なり、オキサチアピプロリンを含む農薬の総使用回数はばれいしょ3回、その他2回以内です。作物ごとに必ず適用表で確認してください。
ばれいしょには750倍・25L/10aの行があります。無人航空機による散布は、ばれいしょ(80倍・3.2L/10a、40倍・1.6L/10a)とたまねぎ(25倍・1.6L/10a)で登録があります。
ミツバチ・マルハナバチは散布翌日から導入できます。薬液乾燥後であれば、カブリダニ類、オンシツツヤコバチ、コレマンアブラバチ、ナミテントウ、タイリクヒメハナカメムシを放飼できるとされています。
SDSでは水生環境有害性(急性区分2、長期区分1)とされています。環境への放出を避け、河川や排水路を汚染しないよう注意してください。
保護手袋・保護衣・保護眼鏡を着用してください。皮膚に付いた場合は多量の水で15〜20分洗い、眼に入った場合は水で15〜20分ゆっくり洗って、中毒情報センターまたは医師に問い合わせてください。飲み込んだ場合は中毒情報センターまたは医師に問い合わせ、指示がない限り吐かせないでください。
密閉容器に保管し、開封した容器は再度密封して立てておいてください。強酸・強塩基類との接触を避けてください。
普通物に区分されています。
FRACコード21(アミスルブロム)と49(オキサチアピプロリン)の2成分混合剤です。FRACは両成分とも耐性リスクを「中〜高」と想定しています。
アミスルブロムについては、Cherrad et al.(2020)が、フランスのぶどうべと病菌で、同じQi部位に作用するシアゾファミドに耐性をもつ株の一部でアミスルブロムへの感受性がわずかに低下していたとし、シアゾファミドとの交差耐性の程度は株によって異なることを示唆しています(ぶどうは本剤の登録作物ではありません)。
Dawson et al.(2008)によれば、英国ではQiI殺菌剤の耐性管理方針に合わせ、疫病防除の散布計画の50%を超えて使わないこととされていました。
オキサチアピプロリンについて、Cohen(2015)は、極めて低い薬量で効くことは利点であると同時に耐性の面では高リスクになりうるとし、作用の異なる殺菌剤と混ぜて使うべきとしています。Cohen et al.(2018)は、疫病菌ではまだ耐性の報告はないものの、別の菌種では室内で耐性株が得られているとしています。
FRACコード49の剤は総防除回数の3分の1以内、アミスルブロムを含む剤は50%以内という使用回数の目安を守り、FRACコードの異なる殺菌剤とローテーションしてください。
技術資料によれば、2018〜2022年に北海道から宮崎までの各地で行われた公的試験17件(ばれいしょ・トマトの疫病、はくさい・レタス・きゅうりのべと病)で、判定はすべて「A」、薬害はありませんでした。
Dawson et al.(2008)は、北欧州の2002〜2006年のばれいしょ疫病の圃場試験で、アミスルブロム100 g/haの葉の疫病への防除率が43試験の平均で87%(73〜100%)だったとしています。同じ比較で、シアゾファミドは24試験中22試験で平均93%、フルアジナムは30試験中27試験で86%、シモキサニル+マンゼブは29試験中27試験で86%でした。
塊茎の疫病でも、アミスルブロム区は無処理(平均20%)に対して4%未満に抑えられ、マンゼブは塊茎の疫病を抑えなかったとしています。スコットランドの試験(2005年)では、塊茎の疫病(重量比)は無処理11.2%に対しアミスルブロム0.3%、総収量は無処理33.02 t/haに対し55.53 t/haでした。
Cohen(2015)は、日本の1980年の分離株を含む由来の異なるきゅうりべと病菌26菌株が、いずれも0.0001 mg/Lの予防処理で病斑を作らなかったとしています。Cohen et al.(2018)は、イスラエルで集めたメフェノキサムに非感受性のトマト疫病菌106株に対し、予防散布のMICが0.0001〜0.1 ppmだったとしています。
いいえ、べと病・疫病専用の殺菌剤です。菌核病、軟腐病など他の病害には効果がありません。他の病害には、それぞれに効果のある薬剤を組み合わせて使ってください。
病気が発生する前の予防的な散布が基本です。栽培期間の前半に使うことがすすめられています。発生後の散布では十分な効果が得られず、耐性菌の発生を助長するおそれがあるとされています。オキサチアピプロリンは予防散布ではごく低い濃度で効きますが、感染後の散布では、トマト疫病菌で予防散布の100〜1000倍の濃度が必要だったという研究があります。
本剤の使用回数は、ばれいしょで3回以内、その他の作物で2回以内です。耐性菌管理のため、FRACコード49の成分を含む薬剤は、べと病・疫病の総防除回数の3分の1以内(防除が3回以内なら1回まで)とされています。アミスルブロムを含む薬剤は総防除回数の50%以内とされています。作用性の異なる殺菌剤とローテーションで使ってください。
いいえ、定植前の苗には使用しないでください。FRACコード49の成分を含む薬剤は、耐性菌管理のため定植前の苗への使用が禁止されています。
はい、雨に強い薬剤です。ばれいしょで散布1時間後から30mm/hの人工降雨を1〜3時間与えた試験では、実用濃度から1/4濃度まで、降雨の有無にかかわらず発病面積率は低く抑えられました。アミスルブロムは葉のワックス層との親和性が高く、ワックス層に局在する割合が6時間後55%、4日後67%、7日後86%と時間とともに高まることが確認されています。
影響は少ないとされています。ミツバチ・マルハナバチは散布翌日から導入できます。薬液が乾いた後であれば、ミヤコカブリダニ・スワルスキーカブリダニ・チリカブリダニ・ククメリスカブリダニ・リモニカスカブリダニ・オンシツツヤコバチ・コレマンアブラバチ・ナミテントウ・タイリクヒメハナカメムシを放飼できるとされています。
はい、ばれいしょとたまねぎで無人航空機による散布の登録があります。ばれいしょは80倍・10a当たり3.2Lまたは40倍・1.6L、たまねぎは25倍・1.6Lです。ばれいしょには750倍・25L/10aの少量散布の登録もあります。
他剤と混ぜるときは、1剤ずつ水に溶いてから次を加えます。乳剤と混ぜる場合は乳剤が先です。少ない水に2剤を同時に入れて練らないでください。
ご使用に際して、製品ラベルに記載された希釈倍率・使用時期・使用回数・収穫前日数を必ず遵守してください。製品ラベルの記載と本ページの記載が異なる場合や薬害や安全使用上の注意などの記載がある場合は、製品ラベルの記載に従ってください。都道府県によってご使用を控えるよう指定されている農薬があるため、お住まいの地域の指針もあわせてご確認ください。河川・水路等への流入および周辺への飛散に注意し、使用後の容器は適切に処理してください。誤って眼または皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流してください。体調に異常が生じた場合は、医師の診断を受けてください。直射日光および高温を避け、小児の手の届かない場所で保管してください。
