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最終確認:2026年8月31日
農薬登録情報:独立行政法人農林水産消費安全技術センター
技術情報:日本農薬株式会社技術資料ほか
ピラニカEWはテブフェンピラドを有効成分とする殺ダニ剤で、ハダニ類の卵から成虫まで全ステージによく効きます。速効的に効き、ハダニ以外にアブラムシ類やうどんこ病にも効果があります。気温・湿度に左右されにくい、安定した効き目が特長です。
本剤はダニが体内でエネルギーを作り出す働きを妨げます。エネルギーを失ったハダニ類は動けなくなります。
ハダニの全ステージへの速効性
卵・幼虫・若虫・成虫、ハダニのどの発育ステージに使っても速やかに効果を発揮します。動きを封じるノックダウン作用も速く、被害の広がりを素早く抑えられます。
天候にも散布むらにも強い安定した効き目
葉の表にかけても葉の裏まで浸み込んで届くため、ハダニが潜みやすい葉裏まで散布むらなく防除できます。気温15〜30℃、湿度50〜95%という幅広い条件でも効果が変わらず、季節や施設内の環境変化に左右されにくい薬剤です。
ミツバチ・マルハナバチへの影響が少ない
ミツバチやマルハナバチへの影響が少なく、開花期前後の作物にも使いやすい薬剤です。受粉を虫に頼る花き類・果菜類でも防除に取り入れやすいのが特長です。
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| 作物 | 適用病害虫雑草 | 希釈倍数・使用量 | 使用時期 | 使用回数 | 使用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| あずき | ハダニ類 | 1000~2000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫7日前まで | 1 | 散布 |
| いちご | うどんこ病 | 2000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 2 | 散布 |
| いちご | アブラムシ類 | 2000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 2 | 散布 |
| いちご | ハダニ類 | 2000~3000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 2 | 散布 |
| おうとう | ハダニ類 | 1000~2000倍散布液量 200~700L/10a | 収穫30日前まで | 1 | 散布 |
| きく | アブラムシ類 | 1000倍散布液量 150~300L/10a | 発生初期 | 1 | 散布 |
| きく | ハダニ類 | 1000~2000倍散布液量 150~300L/10a | 発生初期 | 1 | 散布 |
| きゅうり | アブラムシ類 | 2000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 1 | 散布 |
| きゅうり | ハダニ類 | 2000~3000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 1 | 散布 |
| さといも | カンザワハダニ | 2000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 1 | 散布 |
| しきみ | サビダニ類 | 1000倍散布液量 200~700L/10a | 発生初期 | 2 | 散布 |
| すいか | ハダニ類 | 2000~3000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫3日前まで | 1 | 散布 |
| なす | チャノホコリダニ | 2000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 1 | 散布 |
| なす | ハダニ類 | 2000~3000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫前日まで | 1 | 散布 |
| ほおずき | チャノホコリダニ | 2000倍散布液量 150~300L/10a | 発生初期 | 1 | 散布 |
| もも | ハダニ類 | 1000~2000倍散布液量 200~700L/10a | 収穫14日前まで | 1 | 散布 |
| やなぎ | ハダニ類 | 2000倍散布液量 150~300L/10a | 発生初期 | 1 | 散布 |
| カーネーション | ハダニ類 | 1000~2000倍散布液量 150~300L/10a | 発生初期 | 1 | 散布 |
| メロン | ハダニ類 | 2000~3000倍散布液量 150~300L/10a | 収穫3日前まで | 1 | 散布 |
| 花き類・観葉植物(カーネーション、きくを除く) | ハダニ類 | 2000倍散布液量 150~300L/10a | 発生初期 | 1 | 散布 |
| 茶 | カンザワハダニ | 1000~2000倍散布液量 200~400L/10a | 摘採21日前まで | 1 | 散布 |
| 茶 | コミカンアブラムシ | 1000倍散布液量 200~400L/10a | 摘採21日前まで | 1 | 散布 |
| 茶 | チャノミドリヒメヨコバイ | 1000倍散布液量 200~400L/10a | 摘採21日前まで | 1 | 散布 |
作物名に「(〜を除く)」とある場合はかっこ内の作物がその行の適用範囲に含まれません。 例えば「かんきつ(みかんを除く)」の行に記載された希釈倍数・使用時期・使用回数はみかんに適用されません。 かっこ内の作物は独自の条件で別の行に登録されている場合があります。表内に該当する作物名の行があるかご確認ください。 該当する行がない場合は本剤に当該作物の登録はありません。
IRACコード:21A(METI剤、ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤)
電子伝達系複合体Iを阻害することで、細胞のエネルギー利用そのものを妨害する作用機構です。呼吸を標的とするグループに属し、比較的速やかに効果が現れます。同じIRACグループ21Aにはフェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、ピリミジフェン、トルフェンピラドが収載されており、テブフェンピラドはこのグループの一成分です。
浸透移行性については、根や茎からの吸収を介した効果や葉の基部から先端部への移行(アクロペタル移行)は認められていません。一方で、葉表から葉裏へ、あるいは葉裏から葉表へ移行する性質(浸達性)を介した効果は明確に確認されており、この浸達性を通じた殺卵・殺幼虫活性が示されています。つまり「株全体に広がる浸透移行性はないが、葉の表裏には浸み込んで届く」という、局所的な浸達性を持つ薬剤です。
有効成分テブフェンピラドは、三菱化学株式会社(現・三菱ケミカル、農薬部門は現・日本農薬株式会社)が1987年に発明したピラゾール環を有する殺ダニ成分です。開発コードは「MK-239」。発明者の一人である岡田至氏は、当初11年間染料の探索研究に従事したのち、1981年に農薬の探索研究へ異動し、1986年から新規農薬の探索合成を担当しました。
「N-ベンジルピラゾール-5-カルボキサミド誘導体」という、当時は農薬活性の報告例がなかった化合物群に着目し、殺菌剤フェンプロピモルフや除草剤ブロモブチド・オキサジアゾンでtert-ブチル基が使われていたことをヒントに、探索開始43個目の化合物で殺ダニ活性を確認。その後ピラゾール環上の置換基を系統的に検討し、探索開始から11か月後・98個目の化合物として1987年3月にテブフェンピラドを発見しました。
当時は「市場の小さい殺ダニ剤をやっても面白くない」という社内の反対意見もありましたが、生物評価担当者の進言と上司の後押しにより開発が継続され、1993年4月に日本農薬株式会社から上市されました。
商品名「ピラニカ」は「ピラ=ピラゾール系」「ニカ=ダニを意味するラテン語の一部」の組み合わせによる命名です。海外では商品名「PYRANICA」または「MASAI」として、10数か国で販売されています。
なお、テブフェンピラド創製で得られた知見をもとに、殺虫剤トルフェンピラドも創製されました。トルフェンピラドはハチハチ乳剤の有効成分であり、両剤とも三菱化学(現・日本農薬)の同じ研究陣から生まれた、いわば「姉妹成分」の関係にあります。
テブフェンピラドはナミハダニ・カンザワハダニ等のTetranychus属、ミカンハダニ・リンゴハダニ等のPanonychus属のハダニ科のダニ類にほぼ同等の効果を示すほか、チャノホコリダニなどのホコリダニ科、ミカンサビダニなどのフシダニ科のダニ類に対しても高い効果を示すとされ、植物寄生性のダニ類全般に有効と考えられています。
ナミハダニの各発育ステージへの効果検定では殺卵作用(ふ化阻止作用)とともに幼虫・若虫・静止期・成虫のいずれの段階に処理した場合でも速効的な致死作用を示すことが確認されており、接触毒としての作用が強いと推測されています。処理葉面にハダニを接種した場合や薬液をフィルム越しに吸汁させた場合でも高い効果を発揮することから、食毒としての作用も持つと考えられています。
雌成虫への処理では歩行不可能な状態(ノックダウン)に至るまでの速さと致死作用について、シヘキサチン・ジコホル・フェンブタチンオキサイドといった従来の殺ダニ成分より優れた活性を示すことが確認されています。
殺ダニ作用は温度条件(15〜30℃)や湿度条件(相対湿度50〜95%)による影響を受けないことが実験室内の検討で確認されており、世界各地の使用実績や年間を通した処理時期別の検討でも有効性が確認されています。
分子式C18H24ClN3O、分子量333.9、外観は白色結晶、融点61〜62℃、分配係数(オクタノール/水)logPow=5.04(25℃)。熱・酸・アルカリには安定ですが、光では比較的速やかに分解します。
製剤毒性は劇物です。急性毒性はラットでは低かった一方、マウスに対する急性経口毒性値は劇物相当でした。皮膚一次刺激性試験(ウサギ)では刺激性は認められず、皮膚感作性試験(モルモット)も陰性でした。眼一次刺激性試験(ウサギ)では軽度の刺激性が認められています。ラット24か月慢性毒性・発癌性試験、マウス18か月発癌性試験のいずれでも発癌性は認められませんでした。
ラット・ウサギの催奇形性試験、復帰変異原性試験・小核試験・DNA修復試験のいずれにおいても、催奇形性・変異原性は認められていません。定められた使用基準を遵守すれば安全な薬剤であると結論づけられています。
果樹類、茶、野菜類、花卉類などダニ類の被害を受ける多数の農作物に薬害を示さず、新葉展開期や幼苗期などの薬害が発生しやすい時期でも安全性が高いことが確認されています。
ハダニ類は繁殖が早く、密度が高くなると防除が困難になるため、発生初期に散布むらのないよう丁寧に散布してください。
連続散布はハダニ類の抵抗性増加を招くおそれがあるため、年1回の使用にとどめ、他の殺ダニ剤と輪番で使用してください。
バラの新展開葉、さつきに薬害を生じることがあるため、薬剤がかからないよう注意してください。カラー、はなはすに使用する場合は、湛水状態で使用せず、使用後14日間は入水しないでください。
カイコに対して影響があるため、周辺の桑葉にかからないよう注意してください。
劇物のため取扱いには十分注意が必要です。眼・皮ふに対して刺激性があり、散布液調製時・散布の際は防護マスク、不浸透性手袋、ゴム長靴、不浸透性防除衣などを着用してください。
水産動植物(魚類)に影響を及ぼすおそれがあるため、河川、養殖池等への飛散・流入に注意してください。
IRACグループ21A(METI剤、ミトコンドリア電子伝達系複合体I阻害剤)に属する成分です。同じグループにはフェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、ピリミジフェン、トルフェンピラドが収載されています。ハダニ類は連続使用による抵抗性発達のリスクが特に高いため、同一作物での使用は年1回にとどめ、作用機構の異なる他の殺ダニ剤とのローテーション防除が推奨されています。
なお、同じIRACグループ21Aのトルフェンピラド(ハチハチ乳剤の有効成分)とは、開発の系譜としても同じ研究陣から生まれた成分であり、作用機構が共通するため、ローテーションの組み合わせとしては避けるべき組み合わせにあたります。
本剤はハダニ類を中心に、作物によってはアブラムシ類などにも使えます。作物ごとの使いどころは次のとおりです。
テブフェンピラドには残効性がより求められる果樹用の水和剤と、汚れを嫌う茶・野菜・花卉用のEW(乳濁製剤)の2つの剤型が用意されており、ピラニカEWはこのうち茶・野菜・花卉向けの製剤にあたります。
※この農薬で登録されている作物と対象病害虫です。
はい。本剤はハダニ類を得意とする殺ダニ剤ですが、アブラムシ類やうどんこ病にも効果があり、これらにも使えます。使い方は作物ごとに違うので、お使いの作物で認められた範囲(希釈倍率・使用時期・回数)を確かめてからご使用ください。
本剤について、特定の薬剤との混用を禁止する記載は確認されていません。ただし、連続して使用するとハダニ類の抵抗性が発達するおそれがあるため、同一作物への使用は年1回にとどめ、作用機構の異なる他の殺ダニ剤とローテーションで使用することが推奨されています。
いいえ、根や茎から吸収されて植物全体に薬剤が行き渡るような浸透移行性はありません。葉の表から葉の裏へ浸み込む「浸達性」は確認されていますが、これはあくまで局所的な効果であり、株全体に広がる性質ではないため、散布時にかけむらが出ないよう丁寧に散布することが大切です。
ミツバチやマルハナバチへの影響は少なく、開花期前後の作物にも使いやすい薬剤です。一方でカイコには影響があるため、周辺の桑葉にかからないよう注意してください。
本剤は劇物に指定されているため、取扱いには十分注意してください。バラの新展開葉やさつきでは薬害を生じることがあるため、かからないよう注意が必要です。カラーやはなはすでは湛水状態での使用や使用後14日以内の入水を避けてください。また連用はハダニ類の抵抗性発達につながるため、年1回の使用にとどめてください。
目に入った場合は直ちに水で十分に洗い流し、速やかに医師の診断を受けてください。誤って飲み込んだ場合は、口をすすいだうえで無理に吐かせず、直ちに医師に相談してください。本剤は劇物に指定されているため、保管・取り扱いには通常以上の注意が必要です。
他剤と混ぜるときは、先にこの乳剤を薄めてから水和剤・フロアブル剤を加えます。少量の水に両方を同時に入れて練らないでください。
ご使用に際して、製品ラベルに記載された希釈倍率・使用時期・使用回数・収穫前日数を必ず遵守してください。製品ラベルの記載と本ページの記載が異なる場合や薬害や安全使用上の注意などの記載がある場合は、製品ラベルの記載に従ってください。都道府県によってご使用を控えるよう指定されている農薬があるため、お住まいの地域の指針もあわせてご確認ください。河川・水路等への流入および周辺への飛散に注意し、使用後の容器は適切に処理してください。誤って眼または皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流してください。体調に異常が生じた場合は、医師の診断を受けてください。直射日光および高温を避け、小児の手の届かない場所で保管してください。
