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最終確認:2026年10月3日
農薬登録情報:独立行政法人農林水産消費安全技術センター
技術情報:石原産業株式会社技術資料ほか
ウララ粒剤は、フロニカミドを有効成分とする、れんこんのクワイクビレアブラムシ専用のIRACコード29の殺虫剤です。湛水した田にまくだけで成分がれんこんに吸われて上の葉まで移行し、新しい葉のアブラムシにも効きます。アブラムシの吸汁をすばやく止め、無人ヘリでも散布できます。
アブラムシの体の中で、姿勢や動きを感じ取る器官(弦音器官)の働きを乱し、汁を吸えなくします。吸汁は短時間で止まり、アブラムシは弱って葉から落ち、やがて死にます。
れんこんのクワイクビレアブラムシ専用、田にまくだけ
れんこんの生育初期に問題となるクワイクビレアブラムシに、安定した効果を示す粒剤です。湛水した田に10a当たり3kgをまくだけで使え、無人ヘリコプターによる散布もできます。
田の水から吸われて上へ移行、新しい葉のアブラムシにも効く
田面水に溶けた成分がれんこんの茎葉から吸収され、上の方へ移行するため、あとから開いた新しい葉に寄生するアブラムシにも効果を示します。葉の中で適度に安定しているので、2〜4週間の残効があるとされています。
アブラムシの吸汁をすばやく止める
薬剤を取り込んだアブラムシは、短時間で汁を吸うことができなくなり、れんこんを加害できなくなります。アブラムシが弱って葉から落ちるまでには数日かかるため、見た目には効きが遅く見えますが、被害そのものはすぐに止まります。
| 作物 | 適用病害虫雑草 | 希釈倍数・使用量 | 使用時期 | 使用回数 | 使用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| れんこん | クワイクビレアブラムシ | 3kg/10a | 生育期 但し、収穫14日前まで | 2回以内 | 湛水散布 |
| れんこん | クワイクビレアブラムシ | 3kg/10a | 生育期 但し、収穫14日前まで | 2回以内 | 無人ヘリコプターによる散布 |
IRACコード:29(弦音器官モジュレーター〔標的部位未特定〕、フロニカミド)
森田ら(2014、石原産業)は、フロニカミドは神経系に作用する既存の殺虫剤のような全身のけいれんや麻痺を起こさずに、すばやくアブラムシの吸汁行動を阻害するとしています。ネオニコチノイド剤・有機リン剤・カーバメート剤・合成ピレスロイド剤・フィプロニルの結合部位には作用せず、ピメトロジンとも作用点が異なると考えられています。
鈴木(2022)は、害虫の弦音器官に作用して吸汁行動などを阻害する点はIRACグループ9と同様だが、Nan-Iav TRPVチャネルには直接作用しないため作用点が異なるとしています。
作用点は研究によって説明が異なり、確定していません。
中川(2007)は、モモアカアブラムシにフロニカミドを処理すると、甘露の排泄が処理1時間後以降は全く見られなくなり、処理後1時間以内に吸汁行動が阻害されたとしています。すべてのアブラムシが死ぬまでには3〜5日程度が必要としています。鈴木(2022)は、薬剤を取り込んだアブラムシは5〜15分のうちに口針を引き抜き、その後再び挿入できなくなって餓死に至るとしています(先行研究の引用)。
鈴木(2022)は、フロニカミドは水に溶けやすく(5,200mg/L)、オクタノール/水分配係数が低く(log Pow 0.3)、主に導管を通って根部から茎葉部へ移行することが確認されており、この特性を活かしてレンコンの田面散布剤としてアブラムシの防除に用いられているとしています。森田ら(2014)は、ナス・トマトで、根部から地上部、処理した茎より上の茎葉部へ浸透移行することを確認しています。
フロニカミドは石原産業が発明した成分で(開発試験番号IKI-220)、トリフルオロメチルピリジンを持つ化合物の研究から、アブラムシに特異的に殺虫活性を示すニコチン酸アミド誘導体を見い出して最適化したものです。日本では2006年10月にウララDFとして登録され、海外では2014年1月末までに41か国で登録されました(森田ら 2014)。
この開発研究は日本農薬学会の業績賞(技術)を受賞しています。本剤(粒剤)は2008年12月1日に登録されました。
フロニカミド1.0%の粒剤(類白色細粒)で、有効年限は5年です。
以下は、有効成分や同じ成分の散布剤(ウララDF)の試験で、本剤(粒剤)をれんこんで使った試験ではありません。
アブラムシ類に対する殺虫スペクトルの表で、クワイクビレアブラムシ(主な寄主作物:なし、うめ、もも、レタス、れんこんなど)の効果は「◎」とされています。
国内各地のナス科・ウリ科作物から採集したワタアブラムシ15クローン(1978〜2001年採集)に対するフロニカミドのLC90は0.8〜3.1mg a.i./Lでした。有機リン系・カーバメート系・合成ピレスロイド系に抵抗性のクローンにも、感受性クローンと同等の活性を示しました。
茎に滴下した¹⁴C-フロニカミドは、処理7日後に処理量の約26%が吸収され、その85%が処理部より上で検出されました(散布剤についての試験で、田面水処理の試験ではありません)。
ダイズわい化病(北海道、DF2,000倍)とジャガイモYウイルス(ドイツ)の試験で、処理区の発病(感染)率が無処理区より低くなりました(数値ラベルなし)。技術資料は、吸汁行動の阻害が速効的に現れるため、ウイルスの伝播阻止効果が期待できるとしています。
DF2,000倍は、オンシツツヤコバチ・コレマンアブラバチ・チリカブリダニ・ミヤコカブリダニ・タイリクヒメハナカメムシなどに対してすべて影響が小さい(平均補正死亡率0〜30%)とされています。ミツバチ・マルハナバチにも、実用濃度で影響は見られませんでした。Meikle・Weiss(2022)は、フロニカミドを含む砂糖液を6週間与えた試験で、ミツバチの採餌活動や生存率に影響はなかったとしています。
Ma ら(2026)によれば、クワイクビレアブラムシはモモやスモモなどバラ科の冬寄主で卵越冬し、春にハスやスイレンなどの水生植物に移動して吸汁する、陸と水の両方の環境で育つ唯一のアブラムシとされています。茨城県土浦地域の普及情報(2016)では、春先に有翅虫がほ場に飛来し、レンコン葉で無翅型となって増殖するとしています。
本剤は普通物です。有効成分の急性経口LD50はラット雄884mg/kg・雌1,768mg/kgで、変異原性は陰性です(ウララDFの技術資料)。メーカーのSDSでは、製品のコイLC50・オオミジンコEC50・藻類ErC50はいずれも1,000mg/L超で、水生環境有害性は区分に該当しないとされています。眼には弱い刺激性があります。
れんこんのクワイクビレアブラムシに、生育期(収穫14日前まで)に10a当たり3kgを湛水散布、または無人ヘリコプターで散布します。本剤の使用回数は2回以内、フロニカミドを含む農薬の総使用回数も2回以内です。必ず最新の適用表で確認してください。
茨城県土浦地域の普及情報は、粒剤は散布してから効果の発現に1〜2週間程度要するため、5月中旬までの早めの処理を勧めています(薬剤名の記載はありません)。
散布後7日間は落水、かけ流しをしないでください。
散布機種の散布基準に従い、適合した散布装置を使用し、薬剤の物理性に合わせてメタリング開度を調整してください。
使用量に合わせて秤量し、使い切ってください。初めて使用する場合は、病害虫防除所など関係機関の指導を受けることが望まれます。
直射日光を避け、なるべく低温で乾燥した場所に密封して保管してください。
普通物に区分されています。
IRACコード29(弦音器官モジュレーター)の殺虫剤で、ネオニコチノイド系・有機リン系・合成ピレスロイド系などとは作用の仕方が異なります。鈴木(2022)は、高い頻度で使うと抵抗性が発達する可能性があるため、作用性の異なる薬剤とのローテーション散布の徹底が重要としています。
れんこんのクワイクビレアブラムシ(3kg/10a、湛水散布または無人ヘリコプターによる散布、生育期〔収穫14日前まで〕、2回以内)
茨城県土浦地域の普及情報(2016)によれば、クワイクビレアブラムシはハス条斑病ウイルスを媒介するとされています。条斑病に感染したハスは肥大茎の表皮の下に筋が入り、販売できず種バスにも使えなくなります。有翅虫の飛来のピークは平年5月中〜下旬で、平均気温が高い年ほど飛来数の増加が早くなる傾向があります。
鈴木(2022)は、フロニカミドの抵抗性は農業分野ではワタアブラムシの報告があるのみで、日本国内での明らかな抵抗性獲得の報告はないとしています。
アブラムシが飛んでくる前〜飛来初期の、早めの処理が勧められています。茨城県土浦地域の普及情報では、有翅アブラムシの飛来のピークは平年5月中〜下旬で、粒剤は散布してから効果が出るまで1〜2週間ほどかかるため、5月中旬までの処理が有効と予想されるとしています。気温が高い年は飛来が早まる傾向があります。
散布後7日間は、落水やかけ流しをしないでください。散布するときは、田に水を張った状態(湛水)でまいてください。
吸汁はすでに止まっていることが多いので、数日様子を見てください。有効成分の試験では、処理後1時間以内に吸汁が止まりましたが、アブラムシがすべて死ぬまでには3〜5日ほどかかりました。粒剤の場合は、まいてから成分がれんこんに吸われるまでの時間もかかります。
病気を運ぶアブラムシを抑えることが、対策の一つになります。茨城県の普及情報によると、クワイクビレアブラムシはハス条斑病ウイルスを媒介するとされ、感染したれんこんは肥大茎に筋が入って販売できず、種バスにも使えなくなります。同じ成分の散布剤(ウララDF)の試験では、アブラムシが媒介するウイルス病の発病を抑える効果が見られています。
はい、ほかの系統とは作用の仕方が違うため、効きにくくなったアブラムシにも効果が期待できます。国内各地で集めたワタアブラムシで、有機リン系・カーバメート系・合成ピレスロイド系に抵抗性の系統にも、感受性の系統と同じように効いたという有効成分の試験があります。使いすぎると抵抗性がつく可能性もあるので、系統の違う剤とローテーションしてください。
メーカーは、魚介類への影響が少ない薬剤としています。この登録の使用方法では、魚毒性の注意事項は「該当なし」とされています。天敵や訪花昆虫にもほとんど影響がないとされています。
ご使用に際して、製品ラベルに記載された希釈倍率・使用時期・使用回数・収穫前日数を必ず遵守してください。製品ラベルの記載と本ページの記載が異なる場合や薬害や安全使用上の注意などの記載がある場合は、製品ラベルの記載に従ってください。都道府県によってご使用を控えるよう指定されている農薬があるため、お住まいの地域の指針もあわせてご確認ください。河川・水路等への流入および周辺への飛散に注意し、使用後の容器は適切に処理してください。誤って眼または皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流してください。体調に異常が生じた場合は、医師の診断を受けてください。直射日光および高温を避け、小児の手の届かない場所で保管してください。
