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最終確認:2026年10月3日
農薬登録情報:独立行政法人農林水産消費安全技術センター
技術情報:日本曹達株式会社技術資料ほか
モスピラン粒剤は、アセタミプリドを有効成分とする、根から吸われて株全体に広がるIRACコード4Aのネオニコチノイド系殺虫剤です。定植時の植穴土壌混和や株元散布1回で、コナガ・アオムシなどのチョウ目からアブラムシ類・コナジラミ類まで幅広く防除でき、野菜・いも類・果樹苗・花きなど多くの作物に使えます。
害虫の神経で信号を受け取る部分に結合し、神経を興奮させ続けます。興奮したまま元に戻らず、けいれん・麻痺を起こして害虫を退治します。
チョウ目からアブラムシまで、幅広い害虫に効く
本剤の成分は、アブラムシなどに加えて、コナガやアオムシなどのチョウ目の幼虫にもよく効くことを目標に選び出された成分です。アブラムシ類・コナジラミ類に加え、コナガ・アオムシ・ハイマダラノメイガ・ヨトウムシ類、アザミウマ類、ハモグリバエ類、コガネムシ類幼虫まで、1剤でまとめて防除できます。
定植時の1回処理、根から吸われて長く守る
植穴に土と混ぜ込むか、定植前日〜当日に株元へまくだけで、成分が根から吸われて株全体に行きわたります。メーカーは、定植時の処理でコナガ・アオムシ・アブラムシ・スリップスの発生を長期間抑えるとしています。粒剤は成分がゆっくり溶け出すように作られており、雨や土の性質に効果が左右されにくい設計です。
野菜・いも類・果樹苗・花きまで、幅広い登録
キャベツ・はくさい・ブロッコリーなどのあぶらな科野菜、トマト・なす・きゅうり・いちごなどの果菜類、レタス・ねぎ、えだまめ・ばれいしょ・さといもなど、100件を超える適用があります。ぶどう、かんきつの苗木、きく・ストック・つつじ類にも使え、トマト・ミニトマトでは生育期(収穫前日まで)の株元散布もできます。
| 作物 | 適用病害虫雑草 | 希釈倍数・使用量 | 使用時期 | 使用回数 | 使用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| あさつき | ネギアザミウマ | 6kg/10a | 植付時 | 1回 | 植溝土壌混和 |
| あさつき | ネギアザミウマ | 6kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| あさつき | ネギハモグリバエ | 6kg/10a | 植付時 | 1回 | 植溝土壌混和 |
| あさつき | ネギハモグリバエ | 6kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| いちご | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 定植時 | 1回 | 株元散布 |
| いちご | アブラムシ類 | 0.5~1g/株 | 生育期(定植30日後まで)但しマルチ被覆直前まで | 1回 | 株元散布 |
| いちご | アブラムシ類 | 0.5~1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| いちご | コガネムシ類幼虫 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| いちご | コナジラミ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| えだまめ | アブラムシ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| えだまめ | アブラムシ類 | 3kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| かぼちゃ | アブラムシ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| かぼちゃ | アブラムシ類 | 1g/株 | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| カリフラワー | アオムシ | 0.5~1g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| カリフラワー | アブラムシ類 | 0.5~1g/株 | 定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| カリフラワー | コナガ | 0.5~1g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| かんきつ(苗木) | アブラムシ類 | 10~20g/樹 | 育苗期 | 1回 | 株元散布 |
| かんきつ(苗木) | ミカンハモグリガ | 10~20g/樹 | 育苗期 | 1回 | 株元散布 |
| きく | アザミウマ類 | 1g/株 | 生育初期 | 1回 | 株元散布 |
| きく | アブラムシ類 | 0.5~1g/株 | 生育初期 | 1回 | 株元散布 |
| きく | ハモグリバエ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| きく | ミカンキイロアザミウマ | 3~6kg/10a | 定植時 | 1回 | 植溝土壌混和 |
| キャベツ | アオムシ | 0.5~1g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| キャベツ | アオムシ | 1~2g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| キャベツ | アブラムシ類 | 0.5~1g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| キャベツ | アブラムシ類 | 1~2g/株 | 定植時 | 1回 | 株元散布 |
| キャベツ | アブラムシ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| キャベツ | コナガ | 0.5~1g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| キャベツ | コナガ | 1~2g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| キャベツ | ハイマダラノメイガ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| キャベツ | ハスモンヨトウ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| きゅうり | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 定植後、但し収穫30日前まで | 1回 | 株元散布 |
| きゅうり | アブラムシ類 | 0.5~1g/株 | 定植時 | 1回 | 株元散布 |
| こんにゃく | ワタアブラムシ | 3kg/10a | 培土時(出芽期) | 1回 | 株元土壌混和 |
| さといも | アブラムシ類 | 3~6kg/10a | 植付時 | 1回 | 植溝土壌混和 |
| ししとう | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| ししとう | コガネムシ類幼虫 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| すいか | アブラムシ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| ストック | ハイマダラノメイガ | 0.5g/株 | 育苗期 | 1回 | 株元散布 |
| セルリー | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| セルリー | ナモグリバエ | 0.5g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| だいこん | アブラムシ類 | 3kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| だいこん | コナガ | 3kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| たばこ | アブラムシ類 | 0.25g/株 | 育苗期後半 | 1回 | 株元散布 |
| たばこ | アブラムシ類 | 0.5~1g/株 | 定植時 | 1回 | 株元散布 |
| チンゲンサイ | アオムシ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| チンゲンサイ | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| チンゲンサイ | アブラムシ類 | 3kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| チンゲンサイ | キスジノミハムシ | 0.5g/株 | 定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| チンゲンサイ | コナガ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| チンゲンサイ | コナガ | 3kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| つつじ類 | ツツジグンバイ | 3~6kg/10a | 発生初期 | 1回 | 株元散布 |
| とうがらし類(ししとうを除く) | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| トマト | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 生育期 但し、収穫前日まで | 3回以内 | 株元散布 |
| トマト | アブラムシ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| トマト | コナジラミ類 | 1g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| トマト | コナジラミ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| トマト | トマトハモグリバエ | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| なす | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| なす | アブラムシ類 | 0.5~1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| なす | コガネムシ類幼虫 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| なす | コナジラミ類 | 0.5~1g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| なす | ミナミキイロアザミウマ | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| ねぎ | ネギアザミウマ | 0.25~0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| ねぎ | ネギアザミウマ | 6kg/10a | 植付時 | 1回 | 植溝土壌混和 |
| ねぎ | ネギアザミウマ | 6kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| ねぎ | ネギハモグリバエ | 0.25~0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| ねぎ | ネギハモグリバエ | 6kg/10a | 植付時 | 1回 | 植溝土壌混和 |
| ねぎ | ネギハモグリバエ | 6kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| はくさい | アオムシ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| はくさい | アオムシ | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| はくさい | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| はくさい | アブラムシ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| はくさい | コナガ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| はくさい | コナガ | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| はくさい | ハイマダラノメイガ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| ばれいしょ | アブラムシ類 | 3~6kg/10a | 植付時 | 1回 | 植溝土壌混和 |
| ピーマン | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| ピーマン | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| ピーマン | コナジラミ類 | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| ひこしまはるな | アブラムシ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| ふき | コナジラミ類 | 2g/株 | 収穫90日前まで | 1回 | 株元散布 |
| ふき | モモアカアブラムシ | 2g/株 | 収穫90日前まで | 1回 | 株元散布 |
| ぶどう | ブドウネアブラムシ | 30g/m2(但し6kg/10a以下) | 収穫14日前まで | 3回以内 | 樹冠下または主幹周辺に散布 |
| ブロッコリー | アオムシ | 0.5~1g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| ブロッコリー | アオムシ | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| ブロッコリー | アブラムシ類 | 0.5~1g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| ブロッコリー | アブラムシ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| ブロッコリー | コナガ | 0.5~1g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| ブロッコリー | コナガ | 1~2g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| ブロッコリー | ハイマダラノメイガ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| ミニトマト | アブラムシ類 | 0.5g/株 | 生育期 但し、収穫前日まで | 3回以内 | 株元散布 |
| ミニトマト | アブラムシ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| ミニトマト | コナジラミ類 | 1g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| ミニトマト | コナジラミ類 | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| ミニトマト | トマトハモグリバエ | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| レタス | アブラムシ類 | 0.25~0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| レタス | オオタバコガ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| レタス | ナモグリバエ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| レタス | ヨトウムシ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| わけぎ | ネギアザミウマ | 6kg/10a | 植付時 | 1回 | 植溝土壌混和 |
| わけぎ | ネギアザミウマ | 6kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| わけぎ | ネギハモグリバエ | 6kg/10a | 植付時 | 1回 | 植溝土壌混和 |
| わけぎ | ネギハモグリバエ | 6kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| 非結球あぶらな科葉菜類(チンゲンサイを除く) | アブラムシ類 | 3kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| 非結球あぶらな科葉菜類(チンゲンサイを除く) | コナガ | 3kg/10a | は種時 | 1回 | 播溝土壌混和 |
| 非結球メキャベツ | ハイマダラノメイガ | 1g/株 | 定植時 | 1回 | 植穴土壌混和 |
| 非結球レタス | アブラムシ類 | 0.25~0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| 非結球レタス | オオタバコガ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| 非結球レタス | ナモグリバエ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
| 非結球レタス | ヨトウムシ | 0.5g/株 | 定植前日~定植当日 | 1回 | 株元散布 |
作物名に「(〜を除く)」とある場合はかっこ内の作物がその行の適用範囲に含まれません。 例えば「かんきつ(みかんを除く)」の行に記載された希釈倍数・使用時期・使用回数はみかんに適用されません。 かっこ内の作物は独自の条件で別の行に登録されている場合があります。表内に該当する作物名の行があるかご確認ください。 該当する行がない場合は本剤に当該作物の登録はありません。
IRACコード:4A(ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)競合的モジュレーター、ネオニコチノイド系)
モスピラン普及会の技術資料(顆粒水溶剤の資料)によれば、正常な神経では、神経伝達物質のアセチルコリンが受容体に結合したあと、酵素(アセチルコリンエステラーゼ)に分解されて情報伝達が完了します。アセタミプリドもアセチルコリンと同じように神経刺激を発生させますが、この酵素で分解されないため刺激を出し続け、害虫は異常興奮状態となって全身的なけいれん・麻痺を起こして死に至ります。
開発元(高橋ら 1998)の試験では、イエバエ頭部膜の受容体への結合阻害(Ki値 3.2×10⁻⁶M)が確認され、ワモンゴキブリの神経ではシナプス伝達が遮断される一方で軸索の伝導は正常でした。開発元は、ニコチン性アセチルコリン受容体のアゴニストとして働くと考えています。総説(Crossthwaite ら 2017)は、アセタミプリドとチアクロプリドはシアノアミジン構造を持ち、ゴキブリの神経ではアセタミプリドのほうがはるかに強いアゴニストであるとしています。
開発元(松田・高橋 1996)は、根からの浸透移行性が大きく、上位葉への移行性と葉表から葉裏への浸透性に優れ、食毒と接触毒の両方で働き、殺卵力も持つとしています。また、「浸透移行性に優れ,水溶剤の散布だけでなく,粒剤の土壌処理による地上部の害虫防除に使用できる」としています。
日本曹達は、半翅目害虫に高活性で浸透性に優れるニトロメチレン系化合物に着目し、鱗翅目害虫にも高活性な化合物を目標に合成展開を進めました。スクリーニングの過程でシアノ基を持つ化合物の強い興奮症状に注目し、シアノアミジン誘導体の中からアセタミプリドを見いだしました。1989年に合成、1991年に開発決定、1992年から日本植物防疫協会の委託試験を経て、1995年11月28日にモスピラン水溶剤とモスピラン粒剤の2製剤が登録されました(試験番号NI-25)。開発研究は日本農薬学会の業績賞を受賞しています。
開発元(高橋ら 1998)は、コナガ・アオムシの若齢幼虫に高活性で浸透移行殺虫力が高いことから粒剤化を進め、「粒剤は降雨や土壌の性質に左右されにくくするため徐放性のものを作出した」としています。徐放性にしたことが、環境条件に左右されにくい安定した効力につながったとしています。
アセタミプリド2.0%の粒剤(淡灰色細粒)で、有効年限は5年です。有効成分の水への溶解度は4,250mg/L(25℃)、分配係数(log Pow)は0.80です。
キャベツ苗の根を希釈液に浸した試験で、コナガ1齢幼虫に対するLC50は0.73ppm(24時間浸漬)・0.31ppm(72時間浸漬)でした。アブラムシに対するLC50は、きゅうりのワタアブラムシ0.019ppm、なすのモモアカアブラムシ0.031ppm、だいこんのモモアカアブラムシ0.023ppmでした。
東京都農林総合研究センターが、トマトの植穴に本剤1gを土壌混和して定植した試験です(登録と同じ使用量・方法)。株元土壌の濃度は処理4日後40.50ppmから182日後1.35ppmへ減少しました。植物全体の濃度は処理7日後に最大(0.229ppm)となりました。57日後には第二花房着生部位より上の茎葉と果実から検出されず(0.005ppm未満)、81日後の果実でも検出されませんでした。
同じ試験で、水への溶けやすさと蒸気圧がアセタミプリドの10分の1と低いイミダクロプリドの粒剤では、成分が株元に集中しました。
ワタアブラムシ1齢幼虫0.056ppm、モモアカアブラムシ1齢幼虫0.21ppm、ダイコンアブラムシ1齢幼虫0.039ppm、コナガ1齢幼虫4.4ppm、ハスモンヨトウ1齢幼虫9.6ppm、ヨトウガ2齢幼虫13ppm、ミナミキイロアザミウマ成虫3.4ppm、タバココナジラミ卵4.8ppmでした。モスピラン普及会の技術資料(顆粒水溶剤の資料、2000倍処理での評価)でも、アオムシ・ワタアブラムシ・モモアカアブラムシ・ミナミキイロアザミウマに「優れた効果」、コナガ・ネギアザミウマ・キスジノミハムシに「高い効果」とされています。いずれも散布や浸漬での評価で、本剤の土壌処理での値ではありません。
有機リン剤などに抵抗性の発達したコナガやアブラムシにも、感受性系統と大差のない活性を示したとしています(1998年時点)。
ネオニコチノイド剤抵抗性ワタアブラムシ(窪田・武智 2020、本剤と同じアセタミプリド粒剤の試験):愛媛県久万高原町の露地ピーマンで採集した抵抗性ワタアブラムシを、粒剤を植穴処理したピーマン苗に接種した試験です。接種3日後の虫数は無処理区の5.8%でした。同じ試験で、他のネオニコチノイド剤の粒剤は32.0〜103.4%でした。著者は、アセタミプリドは散布剤・粒剤とも感受性が維持されているとしています。
定植日前日〜当日に粒剤を1回土壌処理した区の収穫物の残留値は、きゅうり(46〜48日後)0.02〜0.04ppm、なす(60〜63日後)0.01〜0.03ppm、ピーマン(78〜84日後)0.02ppm以下、だいこん(42〜70日後)0.01ppm以下(いずれも代謝物を含む分析法)でした。ピーマンの1g/株、だいこんの4kg/10aは現行登録の使用量と異なります。
著者は、粒剤では収穫までの期間が長く、作物体中での分解と肥大成長によって残留値が小さくなると考えています。
土壌中のアセタミプリドは1〜2日で半減し、分解物を含めた半減期は約2週間〜1か月でした。滅菌土壌では分解が進まなかったことから、分解には微生物が大きく関わっているとしています。降雨を受ける容器試験では溶出液から検出されず、下層への移行も認められませんでした。
メーカーは、本剤をミツバチ・マルハナバチへの影響が少なく、粒剤なので有用昆虫への影響も少ない薬剤としています。モスピラン普及会の技術資料(水溶剤の散布試験)では、ミツバチの働きバチに2000倍液を直接散布した72時間後の死亡率は0%でした。散布したレンゲ畑の訪花個体数は無処理区と同程度で、トマトハウスのマルハナバチも無処理ハウスと同様に行動しました。
同資料の天敵の表(剤型・濃度の記載なし)では、コレマンアブラバチ・ミヤコカブリダニ・チリカブリダニ・ククメリスカブリダニへの影響は小さい一方、オンシツツヤコバチ成虫・アリガタシマアザミウマ幼虫への影響は大きいとされています。Mackei ら(2024)は、実験室で亜致死量のアセタミプリドを48時間与えたミツバチで、死亡率は2%以下だったものの、脳の酸化ストレスの指標が有意に変化したとしています。いずれも本剤の土壌処理での試験ではありません。
本剤は普通物です。開発元(高橋ら 1998)は、有効成分は劇物に相当し、20%の水溶剤は劇物だが、2%の粒剤は普通物扱いになるとしています。メーカーのSDSでは、製品の急性経口LD50(ラット)は5,000mg/kg超、GHS分類は「該当なし」です。
キャベツなどの野菜は定植時の植穴土壌混和(0.5〜2g/株)、定植前日〜当日の株元散布(0.25〜1g/株)が中心です。だいこん・非結球あぶらな科葉菜類などは、は種時の播溝土壌混和(3kg/10a)、ねぎ類は播溝・植溝土壌混和(6kg/10a)、ばれいしょ・さといもは植付時の植溝土壌混和(3〜6kg/10a)で使います。
トマト・ミニトマトは生育期(収穫前日まで)にアブラムシ類へ0.5g/株の株元散布(3回以内)ができます。いちごは定植30日後まで(マルチ被覆直前まで)の株元散布ができます。ぶどうは30g/㎡(6kg/10a以下)を樹冠下または主幹周辺に散布(収穫14日前まで、3回以内)、かんきつ苗木は育苗期に10〜20g/樹を株元散布します。
アセタミプリドを含む農薬の総使用回数は、粒剤の定植時までの処理、散布、くん煙、定植後の株元散布などの内訳で決められている作物が多くあります。モスピラン顆粒水溶剤などの同じ成分の剤と合わせて数えてください。必ず最新の適用表で確認してください。
キャベツ・ブロッコリー・非結球あぶらな科葉菜類・セルリーでは、薬害発生のおそれがあるため使用量を厳守し、根に直接ふれないよう施用後に土壌とよく混和してから植え付けてください。
今期に収穫見込みのない苗木に株元処理し、処理後は軽く散水してください。効果を発揮するまでにある程度期間がかかるため、対象害虫の発生前に予防的に処理してください。
栽植密度に合わせ、播溝に株当たり1gに相当する量を均一に施用してから土壌混和してください。
蚕に影響があるため、周辺の桑葉にかからないようにしてください。水産動植物(甲殻類)に影響を及ぼすおそれがあるため、河川・養殖池等に飛散・流入しないよう注意し、散布器具・容器の洗浄水は河川等に流さないでください。
使用量に合わせて秤量し、使い切ってください。初めて使用する場合や、適用作物群の作物・新品種に初めて使う場合は、病害虫防除所等の指導を受け、事前に薬害の有無を確認してください。使用時は農薬用マスクなどを着用し、作業後はうがいをしてください。
密封し、直射日光を避け、食品と区別して、小児の手の届かない冷涼・乾燥した所に保管してください。
普通物に区分されています。
IRACコード4A(ネオニコチノイド系)の殺虫剤です。ネオニコチノイド剤抵抗性のワタアブラムシでは、アセタミプリドは他の4A剤より感受性が保たれていると報告されています(松浦 2015、窪田・武智 2020、ガイドライン案資料)。一方、宮崎県の個体群のLC50は感受性個体群の74〜104倍に上がっており、著者は今後、実用上問題になるレベルまで抵抗性が発達することを懸念しています。
同じ4Aの剤(モスピラン顆粒水溶剤などの同じ成分の剤を含む)を続けて使わず、作用機構の異なる剤と組み合わせてください。
宮崎県(松浦 2015、水溶剤2,000倍)では、県内5か所の個体群に対するアセタミプリドの補正死虫率は86.2〜100%で、常用濃度での感受性低下は確認されませんでした。同じ表のほかのネオニコチノイド剤は0〜65.5%でした。和歌山県の系統(顆粒水溶剤2,000倍)でも91.4%でした。薬剤抵抗性管理のガイドライン案に関する資料は、抵抗性の主な原因は受容体β1サブユニットの変異(R81T)で、ニトロ基タイプのネオニコチノイドで効力低下が大きく、シアノ基タイプ(アセタミプリド、チアクロプリド)では比較的高い感受性が維持されたとしています。
福岡県(浦・嶽本 2008、水溶剤4000倍)で施設栽培ナスの7圃場から採集した個体群では、補正死亡率が17.6〜86.1%と個体群間で大きく異なりました。
薬害が出るおそれがあるため、使用量を守り、根に直接ふれないよう土とよく混ぜてから植え付けてください。メーカーは、キャベツ・ブロッコリー・非結球あぶらな科葉菜類・セルリーでこの注意をしています。
ほかのネオニコチノイド剤より効きやすいという報告がありますが、油断はできません。宮崎・愛媛・和歌山のネオニコチノイド剤抵抗性ワタアブラムシで、アセタミプリドはほかのネオニコチノイド剤より高い効果を示しました。愛媛県のポット試験では、本剤と同じアセタミプリド粒剤を植穴処理したピーマン苗で、アブラムシの数が無処理の5.8%に抑えられています。
一方、宮崎県は、アセタミプリドへの感受性も感受性系統に比べて大きく下がっており、今後効かなくなるおそれがあるとしています。系統の違う剤と組み合わせて使ってください。
地域や個体群によって効き方に大きな差があります。福岡県のナスで採集したタバココナジラミ(バイオタイプQ)の試験(水溶剤)では、効果が個体群によって大きくばらつきました。地域の防除所などの情報を確認してから使ってください。
定植時に処理した場合、収穫物に残る量はごくわずかと報告されています。東京都の試験では、トマトに植穴処理した成分は果実から検出されませんでした。開発元の試験でも、きゅうり・なす・ピーマン・だいこんの収穫物の残留はごくわずかか検出されない程度でした。ただし生育初期は作物体中の濃度が高いため、東京都の研究報告は間引き菜を食べないよう注意を求めています。
メーカーは、ミツバチ・マルハナバチへの影響が少ない薬剤としています。同じ成分の水溶剤を散布した試験でも、ミツバチの死亡や訪花行動、マルハナバチの行動に大きな影響は見られませんでした。一方、海外の実験室の試験では、死なない程度の量を食べさせたミツバチの脳で酸化ストレスの指標が変化したという報告もあります。
天敵では、アブラバチやカブリダニ類への影響は小さい一方、オンシツツヤコバチなど影響の大きい種類もあります(散布剤での評価)。
同じアセタミプリドの剤ですが、本剤は土に処理する2%の粒剤で、毒劇物の区分は普通物です。顆粒水溶剤は水に溶かして葉に散布する20%の剤で、医薬用外劇物です。どちらもアセタミプリドを含む農薬として総使用回数に数えるので、合わせて回数を確認してください。
はい、蚕と甲殻類に注意が必要です。周辺の桑葉にかからないようにしてください。また、河川や養殖池などに流れ込まないよう注意し、器具や容器の洗浄水を河川に流さないでください。
ご使用に際して、製品ラベルに記載された希釈倍率・使用時期・使用回数・収穫前日数を必ず遵守してください。製品ラベルの記載と本ページの記載が異なる場合や薬害や安全使用上の注意などの記載がある場合は、製品ラベルの記載に従ってください。都道府県によってご使用を控えるよう指定されている農薬があるため、お住まいの地域の指針もあわせてご確認ください。河川・水路等への流入および周辺への飛散に注意し、使用後の容器は適切に処理してください。誤って眼または皮膚に付着した場合は、直ちに水で洗い流してください。体調に異常が生じた場合は、医師の診断を受けてください。直射日光および高温を避け、小児の手の届かない場所で保管してください。
